「Zaim」は、広告を打たず、口コミだけで普及した国内最大級のオンライン家計簿アプリで、約650万ダウンロードされている。スマートフォンで、費目を選んで金額や購入店を入力する方法もあるが、OCR(手書きや印刷された文字をスキャナーやデジタルカメラで読み取り、コンピューターが利用できるデジタル文字コードに変換する)機能があるため、レシートを撮影すると文字や費目の分類まで自動的に認識される仕組みを持っている。入力データを分析してグラフ化したり、オンラインで同年代の人がどのくらい使っているかを比較したりもできる。連携している約1500の銀行・カード会社に保管されている自分の情報は、いつでも閲覧可能だ。
利用者から1日に100件程度ある問い合わせには全て回答し、上がってきた要望を考慮してサービスを改善している。個人の開発者でも一部の機能に入ることができ、関連サービスをユーザーと共につくっている点も特徴的だ。
閑歳氏が最初にプログラミングに触れたのは高校生のとき。プログラミングを覚えればゲームがつくれるという憧れから、パソコンやソフトを買って独学で挑戦してみたが、当時はまだ難しかった。プログラミング学習では、仲間をつくり、分からないことは教わったり、まねしたりすることが習得への近道だ。
ビジネスパーソンとしては、言葉や概念だけでも理解しておくとエンジニアや開発者と話が通じやすい。参考書を読むなど全部を完璧に学んでからプログラミングを始めるのではなく、あったらいいと思うものを見つけ、最低限必要な知識を得て自分でプログラムをつくり、動かしてみる体験が重要だ。
出回っているものは若者向けばかりで、自分たちが楽しめるものが欲しいと、独学でアプリを開発した81歳の高齢者もいる。世代や環境などに応じた、当事者ならではの問題点は必ずある。課題解決から製品になるヒントや、生活を便利にするアイデアを、実際にかたちにできる道具の一つがプログラミングであり、それを身に付けることは今後生き抜く上で大きな力になる。