ITが急速に発達し、同分野の人材不足が深刻化する中で、子ども時代からプログラミング教育を実践、将来の人材育成につなげようという流れが起きている。現実にイギリスやイスラエルなど、多くの国でプログラミング教育が実施されている。日本では、アクティブラーニング(学修者が能動的に学習に取り組む学習法)導入にプログラミングを活用する動きや、教育ビジネスとしてコンピューター塾などが出現してきた。
プログラミング学習では、「知る」「考える」「つくる」力を身に付け、新しい学びとしての可能性が期待されている。大人にとっても、プログラミングを学ぶことで、コンピューターの仕組みや原理を理解したり、業務効率化を具体的に考えられるようになったり、開発部隊とのコミュニケーションが円滑化したり、アイデアを具現化する手段を習得できる等のメリットがある。
子どもにとっては、自分が知らないことを試行錯誤しながら、物を組み立てる行動とセットにして学習することで、新しい理解や概念が生まれる効果がある。
MIT(マサチューセッツ工科大学)ライフロング・キンダーガーデン・グループのミッチェル・レズニックが中心となって開発した「Scratch」は、教育用ビジュアルプログラミング環境だ。難しいプログラミング言語を学ぶのではなく、少し工夫すれば自分なりに作品をつくり出せるという体験を通して、できる喜びを味わい、挑戦する意欲を培う。
プログラムを間違うとエラーとなり作動しないが、心おきなく何度もチャレンジすることが可能だ。プログラミング的思考とは、コンピューター科学者たちが日常的に行う論理的思考法のことだ。今後、プログラミングは新時代の万国共通語の必須スキルになる。プログラムを意のままに操ることは、ゲームやアプリを使うだけでなく、つくる側へ回るチャンスを得られる。日常生活の中にも学ぶヒントはたくさんある。プログラミングは、あくまで道具であり、プログラミング的思考法を体得するためには、何ごとにも広く興味を持って挑戦することが大切だ。