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製造業における価値づくり経営 > 製造業における価値づくり経営 02

価値づくりの条件:独自性と顧客価値創造


概要:
日本のエレクトロニクス産業は、高品質な商品を大量生産できることから世界市場を席巻したが、低コストものづくりを追及しモジュール化に邁進したため、競合他社との差別化が難しくなり、シェアを失っていった。一方、自動車産業は、日本の価値を存分に発揮できる擦り合わせ技術を洗練させ、他の追随を許さないほどの発展を続けている。日本の製造業の価値づくりには、「擦り合わせ」が欠かせない。
本番組では、自動車とエレクトロニクス産業が目指す方向の違いを比較検討し、価値づくりに必要な条件を提示する。
日本の自動車とエレクトロニクス産業は、価値づくりの成果において対照的な経過をたどっている。自動車5社(トヨタ、日産、ホンダ、マツダ、富士重工)と、電機5社(パナソニック、ソニー、日立、東芝、NEC)の合計売上高の推移を見ると、2000年前後にはどちらも30兆円規模であったものが、2016年には、電機5社が30兆円と横ばいするのに対し、自動車5社は60兆円を越え過去最高を更新した。エンジン、トランスミッションなど多くの調整が必要でものづくりが難しい自動車産業が、これほど発展したのは、日本企業が得意とする擦り合わせ技術を駆使し、製造工数を削減し続けてきたからにほかならない。加えて、ボンネットの高さを1cm下げればかっこいいと言って3000ドル以上支払う消費者などにも柔軟に対応し、自動車の価値をさらに高めていることもプラスに働いている。
日本企業の価値づくりを妨げる要因は、モジュール化にある。モジュール化を推進するモジュラー型の製造では、事前のルール設定によって、部品コスト、商品開発コスト、組織間調整コストを下げることができるが、誰もが同じ品質の商品を組み立てることができるため、競合との差別化が難しく自社の優位性を保てない。日本の自動車産業では、現場で部品メーカーも一緒になって複数の製品設計・開発を同時並行で行うコンカレント型でものづくりが行われてきた。このため試作前にある程度の問題解決が可能になり、工数が削減される。欧州の企業では、試作後に発生する問題を解決する手法を採るため、新車開発工数が約360万時間かかる。これに対して日本企業の工数は120万時間にとどまっている。
日本の企業は、技術者が質量ともに不足するソフトウエアが弱みとなるため、ハードとソフトの擦り合わせで強みを発揮する必要がある。そこで増加するコストは、顧客が主観的に評価する意味的価値を加えて商品価格で吸収すればよい。日本企業は、擦り合わせと意味的価値の合わせ技で差別化を図り、価値づくり経営を進めていただきたい。
 講義タイムテーブル:
スライド 時間 タイトル
00: 00: 00 価値づくりの条件:独自性と顧客価値
00: 00: 44 「製造業における価値づくり経営」 全体構成
00: 01: 19 「製造業における価値づくり経営」 第2回 価値づくりの条件:独自性と顧客価値
00: 03: 24 価値づくり成果において対照的な日本の自動車と電機
00: 05: 45 日本の製造業が強みを発揮できる条件は?
00: 07: 07 電機と自動車:売上高の代表5社合計比較
00: 08: 11 電機と自動車:営業利益の代表5社合計比較
00: 11: 32 個別企業の売上高利益率の変遷
00: 13: 39 戦略が無い企業(例):富士通と全産業の営業利益率
00: 15: 12 日本製造業 価値づくりポテンシャルマップ
00: 18: 41 乗用車が擦り合わせになる理由の一つ
00: 23: 58 【再掲】日本製造業 価値づくりポテンシャルマップ
00: 25: 43 iPhoneも「擦り合わせ+意味的価値」
00: 26: 44 日本企業の価値づくりの阻害要因:モジュール化
00: 34: 54 モジュラー型とインテグラル型アーキテクチャ
00: 37: 38 製品アーキテクチャの階層性
00: 39: 17 商品・サービスにおけるアーキテクチャの選択
00: 42: 57 商品特性と顧客分布
00: 43: 39 モジュラー型と擦り合わせ型の組み合わせ
00: 47: 02 組織から見るモジュラー型と擦り合わせ型
00: 48: 58 擦り合わせにおける日本企業の強み:コンカレント型
00: 50: 02 欧米型と日本型アプローチ
00: 51: 06 フロントローディング(問題解決の前倒し)
00: 53: 48 日本企業の弱み:ソフトウエア
00: 56: 19 2種類の擦り合わせ:自社の商品と顧客の商品
00: 58: 02 第2回 価値づくりの条件 まとめ
講師紹介: 延岡 健太郎(のべおか けんたろう)
一橋大学イノベーション研究センター 教授
大阪大学工学部精密工学科卒業後、マツダ株式会社に入社。マサチューセッツ工科大学より経営学修士取得後、同大学よりPh.D(経営学博士)を取得。
現在は神戸大学経済経営研究所教授、経済産業研究所ファカルティフェロー。

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  アシスタント:小泉 陽以

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