日本は、消費支出や人口が伸びておらず、国内市場は低欲望社会が常態化し、反転する兆しがない。その一方で、外国人消費者がネット上で日本国内の商品を購入する越境ECや、外国人旅行者が日本の商品を購入して持ち帰るインバウンド消費など、GDP統計上は輸出にカウントされているが、成長が著しい消費支出もある。
スマホ経済の拡大、デジタルテクノロジーの普及が、ビジネスや人々の生活を変えた。若者世代では、自らの体験をSNSに投稿し表現することが、生活行動・消費行動のモチベーションになっている。しゃぶしゃぶ肉を29cmの高さに積み上げた鍋料理を提供する「九州黒太鼓」など、SNS映え(インスタ映え)する料理や商品を掲載し、集客に成功している飲食店も登場した。消費者は、「買う」から「シェア」するようになり、シェアリング・エコノミーが急拡大している。Amazonをはじめとして、世界各国でEC市場が活況を見せており、今後さらに小売業のEC化率が高まることが予想される。ネット上で個人間取引を支援するサービスも拡大の一途をたどっている。フリマアプリを提供する株式会社メルカリは、2013年設立から数年で、未上場株の推定時価総額が1000億円に成長した。
消費構造が大きく変化する時代において、企業は消費の概念を広く捉えて消費者を見つけ出し、ネット活用などを通じて彼らの購買促進の働き掛けを行っていくことが必要となる。対象商圏は日本国内だけとは限らない。2016年の訪日外客数は、過去最高の2400万人超を記録した。外国人の関心は「モノ」から「コト」へシフトしつつある。体験型消費を提供しインバウンドの誘致に成功したニセコのように、世界から富裕層を呼び込み、お金を使いたくなるような仕組みを構築することも成功への鍵となるだろう。デジタル化・グローバル化で商いは無限に広がる可能性がある。新時代の消費動向を的確に捉えることができれば、日本の地方自治体や中小企業の再生も夢ではないだろう。
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