株式会社ブックウォーカーは、総合電子書籍サービスを展開し、急成長しているカドカワグループの企業である。カドカワグループの書籍などのコンテンツをkindleやkoboなどの電子書籍ストアに取り次ぎすると同時に、自社直営の電子書籍ストアであるBOOK・WALKERに配信している。またNTTドコモと協業で定額電子雑誌サービス「dマガジン」を運営している。
電子書籍とは紙の書籍をそのまま電子化したものである。1988年、電子辞書の時代から電子書籍は存在したが、展開が本格化したのは、2012年にkindle日本版がスタートした頃からである。現在は、海外IT系、メーカー系、印刷会社系、キャリア系など様々なサービスが存在する。
日本の紙の書籍市場は、1996年の2.6兆円をピークに縮小し、現在は1.4兆円程度である。特に雑誌の落ち込みが著しい。その分、電子書籍が急速に伸びており、紙の書籍と併せると、書籍そのものは実は右肩上がりである。
ただし電子書籍は伸びているものの金額はまだ小さい。電子書籍には、かさばらない、いつでも買える・読める、価格が柔軟であるなどのメリットがあるが、読後感が少ない、自分のモノという安心感が少ない、新しい本に出会いにくいなどのデメリットもある。これらデメリットをいかに克服していくのかが今後の課題である。
BOOK・WALKERはアニメやマンガコンテンツが充実しており、若い年代の男性が主な購読者層である。ターゲットが明確であり、海外展開にも積極的である。本棚連携サービスや全文検索機能、読書ノートによるパーソナライズ化などIT技術的な機能・サービスを充実させながら、個人出版サービスや音源の付加などデジタル化ならではのサービスに取り組んでいる。またソーシャルメディアを活用したマーケティングにも取り組んでおり、海外展開に際しては、著名Youtuberを活用している。
急速に伸びている電子書籍であるが、まだ多くの日本人が使用しているとはいえない。逆にいうと、伸びしろが大きく、これからも拡大できるビジネスである。