JapanTaxi株式会社は、日本交通株式会社のデータサービス部門として1977年に設立された会社である。タクシーに関するソフトウェアなどを開発しており、エンジニアを中心とした70名程度の組織である。
同社は、伝統的なタクシー業界をIoTの力で変革すべく、「配車プラットフォーム」「決済プラットフォーム」「広告プラットフォーム」を開発している。
「配車プラットフォーム」においては、「全国タクシー」「乗務員アプリ」「料金検索」アプリを開発・運営している。「全国タクシー」は日本国内で最大手のタクシー配車アプリである。同社のシステムは、グーグルマップやiOSマップ、アマゾンアレクサ、カカオタクシーとも連携を進めており、ユーザーの利便性を高めている。同社のシステムがUberなどの配車アプリと違うところは、タクシー配車に特化して開発されていることで、既存のタクシー会社の仕組みと親和性が高くなっている。
「決済プラットフォーム」は、スマホで支払を済ませることができるシステムであり、2017年度のベスト・ユース・オブ・メディア賞を受賞した。
「広告プラットフォーム」は、タクシー車内で的確な広告を提供するシステムである。タクシーは、ビジネスシーンで使われることが主で、キャリア志向の強い方や高所得者の利用が多い。明確なターゲットに向けて、乗車時の適切なタイミングで動画広告を流すので9割以上の乗客が最後まで観るというデータがある。これまでもポカリスェットや伊右衛門茶のタイアッププロモーションが話題になった。東京には4万台のタクシーが走っており、広告媒体としての可能性が大きい。これからも広告効果を高めるように研究を重ねていきたい。
このように伝統的な業界においてIoT技術を使うことで、利便性を高めるだけではなく、新たなビジネスを作ったことは素晴らしいといえる。タクシー業界以外にも展開できる事例ではないだろうか。