社会の変化が激しく、ビジネスも複雑化している現代、かつての社員教育では成果が上がらないことも多い。その際には若手社員の力量を疑うのではなく、育成方法を見直すことが必要だろう。本番組では、ゆとり世代といわれる若者に対する思い込みをなくし、彼らの強みや特徴を理解しながら、若手社員をどのように育て、活躍させるのかを考える。今回は博報堂の中馬氏と白井氏をゲストに迎え、現代の若者の傾向を挙げながら、OJT(On the Job Training)を中心とした教育事例を紹介する。
グローバル化やデジタル化などの環境変化に応じて、企業の求める人材が変われば、育て方も変えていく必要がある。従来の社員教育は、上司の背中を見せ、飲みながら相互理解を図り、上下関係を絶対とする姿勢だったが、今後は、課題や目標を具体的に示し、業務について明快な理解を図り、上司と部下がいい緊張感を保つことが望ましいだろう。 現代の若者は、幼いころから電子機器に慣れているデジタル・ネーティブであり、学生時代の起業や、海外留学などでグローバル体験をしている者も多い。彼らは自分の専門性が生かせない仕事を与えると、すぐ不安になり、辞めたいと考える傾向があるため、相談できる先輩やミーティング制度を設けて「見守り」、研究支援やビジネス案の社内公募などで「思い切って任せる」という二つのバランスを考えた育成が大切である。 博報堂のOJT現場での若手社員たちは、積極性が高く、リスクをいとわず、自分の意見を主張できる傾向が先輩世代よりも強かった。かつては「まず経験をしてから学ぶ」という育成スタイルが主流だったが、現代の若手は、先に原理や原則を「学んでから経験する」という志向が強く、加えて、指導されたことを自分で応用する能力も高いという。 これまでは、目標となる先輩を見て育ち、10年かかって一人前になったが、業務領域の拡大や育成の短期化が望まれる現代では、目標が設定しにくく、新たなモデルを自分でつくらなければならない。雑務やルーティンワークはIT化やアウトソーシングに頼れるため、高い専門性や業務の高速化が求められ、仕事の難易度が上がっていることも明白だ。このような職場や仕事の変化が若手の特性を生かせない要因になっているのではないか。 同社の新人教育では、まず「自分ごと」の意識を身に付けてもらうために1年間のOJTを行い、その前半は小さな経験と丁寧な指導で「任せて・見る」、後半は応用が必要な経験を与えて見守る「任せきる」という段階的な育成で、若手の力を引き出している。
スライド 時間 タイトル 00: 00: 00 「若手社員に対するOJT」 00: 00: 57 若手社員を育てる人材マネジメント #4「若手社員に対するOJT」 00: 01: 35 若手社員への教育方法の変化(1) 00: 01: 59 若手社員への教育方法の変化(2) 00: 02: 57 若手社員への教育方法の変化(3) 00: 03: 31 若手社員への教育方法の変化(4) 00: 03: 55 若手社員への教育方法の変化(5) 00: 03: 59 若手社員への教育方法の変化(6) 00: 07: 05 会社概要 00: 08: 26 博報堂グループを取り巻く環境変化 00: 12: 30 これから求められる人材の要件 00: 18: 01 前の世代と比較しても既に多様化している 00: 24: 26 彼らとどう向き合うか 00: 30: 20 OJT現場から見た若手の傾向 1 00: 32: 47 OJT現場から見た若手の傾向 2(1) 00: 33: 41 OJT現場から見た若手の傾向 2(2) 00: 36: 18 今の若手の特性を活かすことが困難になっている2つの要因 00: 37: 28 ①職場の変化:組織/ワークスタイルの変化 00: 40: 25 [現在・これから] 00: 44: 16 今の若手の特性を活かすことが困難になっている2つの要因 00: 44: 22 ②仕事の変化:量・難易度・スピードの変化(1) 00: 46: 23 ②仕事の変化:量・難易度・スピードの変化(2) 00: 50: 51 博報堂の新入社員OJTの考え方 00: 52: 30 育成(1年間)の大きな流れ・ストーリー(1) 00: 52: 45 育成(1年間)の大きな流れ・ストーリー(2) 00: 55: 26 どこまで「任せ・きる」のか? 00: 57: 32 OJT現場から見た若手の傾向 補足