2003年、コニカとミノルタは経営統合し、コニカミノルタホールディングス株式会社が発足した。2006年には、創業事業の写真フィルムとカメラから完全撤退、情報機器へと事業変革を行った。2013年に傘下だった7社を一本化し、コニカミノルタ株式会社として、大胆な事業転換を実行しながら発展を続けている。2009年から2014年、ちょうど過渡期に社長を務めていたのがゲストの松崎正年氏だ。そのときどのような戦略を取り、企業を変えていったのか。氏のリーダーシップ考も併せて詳細を伺う。
現在、コニカミノルタの売上は、IT関連のオフィスサービスが6割、商業産業印刷が2割、機能材料光学が1割の比率であり、販売実績は海外が8割、サービス網は世界150カ国超と、グローバルに展開をしている。同社は統合以来、経営と監督をきっちりと分けており、松崎氏の現職は管理側の取締役会議長。このスタイルはまだ国内には少ない。社長就任時はリーマンショック後の世界同時不況だった。まず掲げた最重要課題は、足腰のしっかりした、社会から支持され必要とされる会社を目指すこと。規模からいうと大手にはかなわないが、成長が見込める領域に集中投資で頂点を狙う「ジャンルトップ戦略」は、小さいからこそ迅速行動できる策だった。例えば情報機器は、カラー印刷機に強力なラインナップとサポート体制を築いた。フィルム技術を生かしたTACフィルムは、視野角を拡大できる大型液晶のテレビ用やモバイル用の薄型を開発、時代の先取りでシェアを取った。事業転換には積極的にM&Aを行っている。ITやマーケティング業者を買収することで、オフィスサービスでは、複写機等のハードとITを組み合わせたワンストップビジネスを提供、印刷注文は企業のマーケティング部門からも獲得した。2014年には、ビジネスイノベーションセンターというオープンな開発拠点を世界5極に設立し、真のグローバル企業を目指すために、広く門戸を開けた交流や、グループ最適化の研究を行っている。松崎氏はリーダーとして、ビジネス、技術等の他社との違いを、洞察力を持って意識するべきだという。意志決定の要は経済合理性に基づく判断だが、時には不確実な状況での決定も必要となる。そんなときには、会社にとってプラスか、世の道理に反してないかを熟考し、納得できるストーリーが描けたら決断する。マニュアル化社会が進む中、最後は人の道理ということに講師もうなずいた。同社の成長はまだ道半ば、若い社員に適切な助言をしながら進めたいとのこと。詳しくは松崎氏初の著書『傍流革命』を参照されたい。
スライド 時間 タイトル 00: 00: 00 傍流革命 小が大と戦うビジネス・アスリート経営 00: 01: 35 プロフィール 00: 04: 18 当社のHistory 00: 07: 54 当社の事業分野とコア技術 00: 13: 16 グローバル展開 00: 13: 56 意思決定の原点 00: 17: 14 締めくくりとして実行した改革 00: 21: 41 大に対する小の戦い方 00: 23: 26 事例-1 情報機器事業(プロダクションプリント分野) 00: 26: 55 事例-2 液晶ディスプレイ用TACフィルム 00: 28: 55 事業の転換 00: 35: 48 成長領域の創出 00: 37: 06 イノベーション創出の試み BICの設立 00: 38: 53 オープンイノベーションの環境整備 00: 40: 52 自らワークスタイルの変革へ 00: 42: 55 真のグローバル企業への進化 00: 44: 59 社会から支持され必要とされる会社を目指す 00: 46: 25 環境経営 00: 47: 36 リーダーとして心掛ける事 00: 49: 50 リーダーに求められる資質・能力 00: 52: 59 意思決定のポイント