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考える力 > 考える力 05

情的思考のための方法論


概要:
シリーズ5回目は、「知・情・意」で考える方法論の中で、情で考えることに焦点を当てる。知で考えるときでも、実は感情と無縁ではない。さらに人間の記憶を形成する過程を見ると、思い出などに代表されるエピソード記憶は感情と不可分の関係にある。豊かな感情を育てていくには、記憶と同様に、幼少期のさまざまな経験や、健全な知的生活を続けていくことが必要だ。感情の形成過程を理解する一方で、人間だけが持つネガティブ感情や、時として起きてしまう感情の暴走をいかにしてコントロールしていくかを考察する。
当然のことだが、動物は生物としての本能的な思考回路しか持ち合わせていない。人間のみが大脳新皮質を発達させて豊かな感情を持つに至った。「喜怒哀楽」という言葉だけではとうてい表わし尽くせないあらゆる感情が一人一人の内にある。養老孟司は「感情係数」と名付け、人間の行動は常に感情の関数として表せると説いた。
人間は言葉で表現しきれない感情の表出を音楽や絵画などの芸術にも託そうとする。それほど豊かな感情が人間同士の潤滑油になればよいが、ややもすると不毛な争いに発展することにもなってしまう。ネガティブな感情としての怒りについては孫子も厳に戒めているが、現代でも変わらぬ課題である。インドではオオカミ少女、フランスではアヴェロンという、いずれも野生児が発見された。生まれた直後から野生動物と暮らした二人に教育を施しても、もはや人間的な感情を持たせることができなかったという。生まれたときから人間として育てられなければ、人間らしい感情を形成できないということは明らかだ。一般的な環境に育った人は、4歳ごろまでに、自分自身と他人の「心」を意識しだす段階に入ると言われる。
一方、人間の記憶形成を見ると、エピソード記憶と呼ばれるものは、そのときの情景と人間関係も含めた感情とがセットで側頭葉に収納される。記憶を送りだす役割をする海馬は一生成長するという。エピソード記憶を重ねることで感情形成も充実する。豊かな感情を培うには、スポーツ、趣味、芸術など遊ぶことも大切な要素だ。子どもたちを詰め込み教育から解放し、また大人でも好奇心や探求心を失わずにいたい。ネガティブ感情をコントロールするには、視野の広い感情を育てることで知と情の調和を心掛け、社会規範も意識したい。あるいは、プロジェクトチームやオーケストラなど、チームに貢献する達成感が得られる「集団情」が醸成できれば喜びもひとしおだ。脳内では感情の葛藤が常にあることを認識することができるようになれば、感情制御は十分に可能である。
 講義タイムテーブル:
スライド 時間 タイトル
0.0: 0.0: 0 情的思考のための方法論
0.0: 0.0: 41 考える力
0.0: 1.0: 17 感情で考える
0.0: 1.0: 52 1.「情で考える」ことの際立った特徴
0.0: 3.0: 15 (i) 多様な広がりをもつ
0.0: 6.0: 8 (ii) 感情の表現形態
0.0: 8.0: 23 トロッコ(芥川龍之介)(1)
0.0: 8.0: 56 トロッコ(芥川龍之介)(2)
0.0: 10.0: 26 エピソード記憶の効果
0.0: 12.0: 18 (iii) 感情係数の機能
0.0: 13.0: 21 (iv) 暴走する危険
0.0: 15.0: 11 孫子「火攻篇」から
0.0: 16.0: 2 2.「記憶の構造」を考えるとわかり易い
0.0: 18.0: 11 海馬の構造と神経回路
0.0: 19.0: 14 海馬の成長
0.0: 21.0: 2 記憶 ・・・ 脳の可塑性
0.0: 23.0: 24 ニューロン(神経細胞)の発達
0.0: 24.0: 7 サルの大脳皮質における視覚関連領域の結合
0.0: 24.0: 57 記憶の分類
0.0: 27.0: 34 記憶の種類による臨界期
0.0: 30.0: 32 3.感情の形成過程を考える
0.0: 30.0: 59 オオカミ少女とアヴェロンの野生児
0.0: 32.0: 57 幼児期の学習
0.0: 34.0: 32 感情のレパートリーを広げる
0.0: 37.0: 5 花を愛した人々(ネアンデルタール人)
0.0: 39.0: 47 3.感情の形成過程を考える
0.0: 40.0: 11 遊ぶこと
0.0: 41.0: 53 豊かな感情を養うこと
0.0: 44.0: 3 表現すること、創造すること
0.0: 44.0: 55 4.感情のコントロールを考える
0.0: 45.0: 16 意思決定の際の大脳(前頭前野)のメカニズム
0.0: 47.0: 49 脳にとっての報酬価の意義
0.0: 48.0: 2 サルにとっての報酬価(状況に応じてエサの価値を統合している)
0.0: 48.0: 27 ヒトにとっての報酬価(例示)
0.0: 49.0: 58 囚人のジレンマ
0.0: 51.0: 33 暴走の制御
0.0: 52.0: 56 東大寺長老 森本公誠師「私の履歴書」から
0.0: 54.0: 4 感情の社会的価値(ひとつの視野)
0.0: 55.0: 45 (付)メンタル・トレーニング
0.0: 58.0: 29 【再掲】感情で考える
講師紹介: 後 正武(うしろ まさたけ)
株式会社東京マネジメントコンサルタンツ 代表
東京大学法学部卒業。新日本製鉄、ハーバードビジネススクール(ディスティンクション)、マッキンゼー&カンパニー(プリンシパルパートナー)、ベイン&カンパニー(副社長)を経て、現職。
ほとんどの産業分野において全社戦略―実行プログラムにいたる一連の組織課題を手がける。

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  アシスタント:岩崎 里衣

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