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BPUプロフェッショナル系 組織人事 > 組織人事ライブ597

集団主義文化の本質から日本の組織を考える(2)
ゲスト:山岸俊男氏(一橋大学大学院国際企業戦略研究科 特任教授)


概要:
前回に続き、社会心理学者の山岸俊男氏を迎え、日本型組織人事の本質を分析・解説する。日本人は集団内部で信頼関係を築き、集団に属している限りは取引リスクを恐れる必要がない「安心社会」を好む傾向にある。しかし、現代の成熟した市場では、集団の外に出て、相手が信頼できるかを常に見極めながら、個人の裁量で利益を追求する「信頼社会」に行かなければ、機会の損失になるだろう。
今回は実験の事例を交えながら、社会における人間の行動は心の中にある価値観だけでなく、環境による影響が大きいことを指摘する。
日本人が集団において協力的なのは、自分よりも集団の利益を優先する選好を備えるからではなく、集団内で互いを監視し合い、周りから嫌われないように行動を慎むなど、人々を協力させるニッチ(制度)が存在するからである。このような環境や仕組みを取り去った社会的真空状態では、人はどのような行動を取るのか、実験事例を見てみよう。
集団内の各人がお金を出すと2倍になって戻り、全員に分配されるとする。例えば、全員が100円を出せば、みんなが200円ずつもらえるので全員が得をする。自分が払っても、ほかの人が払わなければ損をしてしまい、自分は払わずに他人が払うと一番得をする。このように自分の利益だけを考えて行動すると、集団や社会に望ましくない状態が生まれることを社会的ジレンマという。集団主義的な日本人は協力的な行動を取ると予測されたが、実際に監視のない状態で実験を行うと、日本人よりアメリカ人の方が集団に協力する傾向が見られた。監視や非協力者を罰する制度があれば、日本人も協力傾向が高まるため、国民性の違いでなく、社会の仕組みが人間の行動や特性を決定づけているといえるだろう。
別の実験では、ペンの束に少数だけ異なる色のペンを入れた中から、好きな1本を進呈する。アメリカ人は少数色、日本人は多数色を選ぶ傾向が見られたが、監視不在で実験を行うと日本人も少数色を取る選好が強まった。日本人はユニークネスが嫌いなわけではなく、それを選んだ結果を想定した悪評回避の意識が強いといえよう。さらに「最初に選ぶなら」という条件が付くと日米ともに約半数が多数色を取り、「最後に選ぶなら」という条件では日米ともに約75%が少数色を取った。つまり、デフォルトで想定する状況が日米で異なり、状況が明確な場合や監視のない状態では、日米の行動差はなくなることが分かった。
人の行動は環境によって左右され、環境は人の行動によって維持される。多くの人が意に反した行動をするような好ましくない秩序なら、時には壊すことも必要ではないだろうか。
 講義タイムテーブル:
スライド 時間 タイトル
00: 00: 00 集団主義文化の本質から日本の組織を考える(2)
00: 01: 11 集団主義文化の本質から日本の組織を考える(2)
00: 01: 19 今日の流れ
00: 03: 32 人間はニッチ構築者である
00: 04: 14 資料(1)
00: 05: 26 70年代から80年代にかけての日本礼賛論
00: 08: 12 社会的ジレンマとしての共有地の悲劇 環境荒廃のもっともよく知られた例
00: 09: 01 資料(2)
00: 09: 11 共有地の悲劇
00: 09: 15 資料(3)
00: 10: 43 共有地の悲劇 もう一つの例-イースター島
00: 11: 59 社会的ニッチ構築者としての人間
00: 16: 34 アメリカ人はユニークさがお好き? 日本人は“みんなと一緒”がお好き?
00: 17: 35 同調への選好?
00: 19: 16 すき焼きの肉の最後の一切れ(1)
00: 19: 25 すき焼きの肉の最後の一切れ(2)
00: 20: 18 Study1 実験の後で、質問紙に回答するためのペンを選んでもらう
00: 22: 47 Study2 シナリオ実験(1)
00: 23: 05 Study2 シナリオ実験(2)
00: 23: 25 Study2 シナリオ実験(3)
00: 23: 36 Study2 シナリオ実験(4)
00: 23: 38 Study2 シナリオ実験(5)
00: 25: 54 Study2 シナリオ実験(6)
00: 25: 55 資料(4)
00: 28: 03 アメリカ人は自己高揚的? 日本人は自己卑下的?
00: 29: 08 実験参加者は「総合認知能力テスト」を受け、自分の成績が大学平均より上だと思うか・・・(1)
00: 29: 56 実験参加者は「総合認知能力テスト」を受け、自分の成績が大学平均より上だと思うか・・・(2)
00: 30: 34 実験参加者は「総合認知能力テスト」を受け、自分の成績が大学平均より上だと思うか・・・(3)
00: 32: 13 同じような実験例
00: 33: 07 日本人とアメリカ人の比較
00: 35: 41 ペン選択の場合にも、知能テストの成績の場合にも、人の目を気にしなくてもすむ状況を設定すると・・・
00: 40: 25 集団主義的秩序と個人主義的秩序
00: 44: 44 集団主義的秩序と個人主義的秩序への適応戦略(1)
00: 45: 14 集団主義的秩序と個人主義的秩序への適応戦略(2)
00: 47: 46 集団主義的秩序と個人主義的秩序への適応戦略(3)
00: 47: 47 集団主義的秩序と個人主義的秩序への適応戦略(4)
00: 47: 54 独立性と協調性の日米差(1)
00: 50: 13 独立性と協調性の日米差(2)
00: 50: 30 日本人118名、アメリカ人131名 (橋本による研究)
00: 54: 58 【再掲】集団主義的秩序と個人主義的秩序
00: 56: 05 まとめ
00: 57: 48 今日のまとめ
講師紹介: 高橋 俊介(たかはし しゅんすけ)
慶應義塾大学SFC研究所上席所員
組織・人事に関する日本の権威の一人。プリンストン大学大学院工学部修士課程修了。マッキンゼー・アンド・カンパニー、ザ・ワイアット・カンパニーに勤務後、独立。
人事を軸としたマネジメント改革の専門家として幅広い分野で活躍中。
主な著書に『自由と自己責任のマネジメント』、『自立・変革・創造のマネジメント』、『キャリアショック』、『組織改革』、『人材マネジメント論』など。

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  アシスタント:岩崎 里衣

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