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BPUプロフェッショナル系 組織人事 > 組織人事ライブ593

サービス業化する日本の人材育成戦略
第1回:サービス業の課題と人材育成


概要:
現在、日本の雇用を支えているのは医療・介護や宿泊・飲食業等を含むサービス業である。ところがサービス業は賃金が低く、非正規比率が高いなど労働条件が厳しいことも多く、雇用の質がいいとはいえない。そのため生産性が上がらず、賃金も上がらないという悪循環に陥っている。生産性を高め、働きがいを強化し、雇用の質を向上させるためには、人材育成が重要になるだろう。今回から3回にわたって、サービス業における人材育成について解説する。
企業規模による賃金格差が大きい日本では、小規模な企業ほど賃金が低く、離職率も高くなる傾向が強い。日本のサービス業は中小企業に属することが多く、特に2000年以降は著しく生産性の低下が見られる。新卒採用者の3年以内離職率も、製造業は10%台であるのに対し、宿泊・飲食サービス業は40%台と高い割合だ。仕事において成長している実感や、これから成長できるという予感があれば離職は減少するので、入社初期の段階から、しっかりと人材育成を行い、成長実感を与えながら、生産性を向上させることが大切である。
サービス業では個別に対応する応用力が求められる。中でも看護師や介護士、宿泊業などホスピタリティーが必要な顧客接点サービス業務は、今後ますます需要増が予想されるため、応用力や感受性を身に付けさせる教育が課題となるだろう。応用力の向上には、言われたことを行うだけの伝承型OJTではなく、目的や背景、考え方まで理解し、自ら考えて行動できる思考力を引き出す教育が必要である。感受性を高めるためには、相手の感情を読み取り、自分の感情をコントロールする感情脳を鍛えることが肝心だ。この両輪を思考行動特性として若いうちから習慣化させるといいだろう。
テレマーケティングで健康食品を販売する沖縄教育出版は、従業員の感情脳を鍛えることで業績を上げた。売上目標よりも顧客との人間関係を重視する同社では、毎朝1時間以上の朝礼を行い、社員たちが顧客とのエピソードを話し合うという。始業前に仲間の創意工夫を聞き、人の役に立ちたいという思いを高めて仕事に臨んだ結果、多くの顧客の気持ちをつかみ、社員140人で毎年5億円以上の経常利益を安定的に生み出している。応用力や感受性を鍛えるためには、同社のような組織学習が効果的である。組織といっても、疎外されることを恐れた従順な集団ではなく、積極的に関わりを持って学び合い、刺激し合う集団学習組織をつくることが、今後の人材育成の鍵になるだろう。
高橋氏の著書『ホワイト企業』も参考にされたい。
 講義タイムテーブル:
スライド 時間 タイトル
00: 00: 00 サービス業化する日本の人材育成戦 第1回:サービス業の課題と人材育成
00: 00: 53 サービス業化する日本の人材育成戦略
00: 05: 33 サービス業化する日本の人材育成戦略 第1回:サービス業の課題と人材育成
00: 06: 09 日本のサービス業のマクロ的課題(1)
00: 08: 12 日本のサービス業のマクロ的課題(2)
00: 10: 07 日本のサービス業のマクロ的課題(3)
00: 13: 00 日本のサービス業のマクロ的課題(4)
00: 14: 09 サービス業の職務特性
00: 20: 10 サービス業の人材育成の視点(1)
00: 20: 12 サービス業の人材育成の視点(2)
00: 25: 15 顧客接点業種で特に重要な能力(1)
00: 25: 20 顧客接点業種で特に重要な能力(2)
00: 29: 47 PISA2003 PISA2006
00: 32: 20 資料
00: 33: 39 学習意欲の二要因モデル (東京大学 市川伸一教授)
00: 36: 09 人の能力の多様性(1)
00: 36: 13 人の能力の多様性(2)
00: 41: 53 沖縄教育出版(1)
00: 41: 55 沖縄教育出版(2)
00: 48: 53 人類の持つ特徴(1)
00: 48: 56 人類の持つ特徴(2)
00: 55: 06 日本の集団主義の特徴(1)
00: 55: 23 日本の集団主義の特徴(2)
講師紹介: 高橋 俊介(たかはし しゅんすけ)
慶應義塾大学SFC研究所上席所員
組織・人事に関する日本の権威の一人。プリンストン大学大学院工学部修士課程修了。マッキンゼー・アンド・カンパニー、ザ・ワイアット・カンパニーに勤務後、独立。
人事を軸としたマネジメント改革の専門家として幅広い分野で活躍中。
主な著書に『自由と自己責任のマネジメント』、『自立・変革・創造のマネジメント』、『キャリアショック』、『組織改革』、『人材マネジメント論』など。

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  アシスタント:岩崎 里衣

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