21世紀に入り、雇用数が増えている医療・介護業界は、これからの若者の雇用を支える重要な柱である。一方で、労働環境の厳しさなどから、残念ながら離職率が高いことも否めない。そんな中で、日本一の有料老人ホーム運営数を誇るベネッセスタイルケアは、新しいタイプのサービス業として、どのように雇用の質を改善したのか。同社の代表取締役社長の滝山真也氏をゲストに迎え、スタッフインタビューも交えながら事業内容や企業理念、人事制度や評価の見直しなどを紹介する。
ベネッセグループは「進研ゼミ」を主力とする国内教育、「たまひよ」等の生活分野、語学教育などの事業があり、シニア介護事業は国内教育に次いで2番目の売上規模を誇る。ベネッセはラテン語で「よく生きる」を意味しており、自分や家族がしてもらいたいサービスを事業化するという理念を掲げる。ベネッセスタイルケアは1995年に始まったシニア介護事業で、現在、全国に260軒の老人ホーム、在宅・保育事業所など322拠点を展開。従業員は1万4500人、うち介護スタッフは約7千人で、本年は430人を新卒採用した。 入社後3年での退職率は約26%で、業界平均の約38%に比べると少ないが、さらなる改善のため、2007年に人事制度や業務内容の見直しを決行。主な退職理由は給与待遇と介護業務に対する認識ギャップであるため、賞与・昇給の改善、目標設定と評価制度の導入、社内研修の充実、掃除や洗濯の専門員を配置して介護に特化する業務改革を進めた。加えて、採用のアンマッチを防ぐため、入社前に仕事を疑似体験してもらう体験型の採用説明会を開き、内定後の辞退や業務イメージの違いによる早期退職を大幅に減少させた。 介護技術の社内試験では、介助の際に支える手の位置や力加減など「なぜそうするのか」を細かく問い掛け、全ての動作に理由があることを腹落ちさせる。理論的な裏付けを持つことで、症状の異なるお客さまに対応する個別性が身に付くという。そのほか、無資格者への資格取得支援や、子どもを保育所に預けて働く社員への保育手当、別事業への異動でキャリアを広げる社内公募制度など、さまざまな取り組みを展開している。 今後の事業拡大に向け、さらなる人事改革として「お客さま・地域・社会への思い」と「確かな専門性」を備え、自分や家族がしてもらいたい真のサービスを提供する「介護のプロフェッショナル」を育成する方針だ。実現のためには、さまざまな制度の見直しに加え、社員一人一人の成長プランに寄り添った支援をすべく、対話することが大切である。
スライド 時間 タイトル 00: 00: 00 ベネッセスタイルケアにおける人財育成の取り組み 00: 01: 09 滝山真也氏 プロファイル 00: 03: 01 ベネッセスタイルケアにおける人財育成の取り組み 00: 03: 06 今日の流れ 00: 03: 23 ベネッセグループの概要 00: 05: 12 ベネッセグループの企業理念と企業メッセージ 00: 06: 32 全国に322の拠点を展開(2014/7/1時点) 00: 07: 19 老人ホームは選べる6シリーズ 00: 10: 46 従業員数 00: 13: 10 介護スタッフの退職率 00: 14: 42 2007年度に行ったこと(1) 00: 17: 20 2007年度に行ったこと(2) 00: 19: 03 「腹に落ちる」機会づくり 00: 25: 26 採用アンマッチを防ぐ取り組み(新卒) 00: 27: 42 人財に関する様々な取組み 00: 35: 22 介護職の退職理由(2013年度) 00: 38: 47 そして今 00: 42: 36 プロフェッショナルの定義 00: 44: 53 スタイル(コンピテンシー)の整理 00: 47: 44 等級制度の見直し 00: 48: 59 評価の見直し 00: 53: 09 研修体系を抜本的に再デザイン 00: 57: 24 まとめ 00: 59: 14 今日のまとめ