日本の人口ピラミッドは、団塊の世代、団塊ジュニア世代をピークに減少を続け、このままであれば、今後40年たっても人口は増えず、高齢化だけが進むことが確実に予見できる。国内総人口の減少は、労働人口、消費者数、地方人口の減少に直結し、日本経済は縮小スパイラスに突入することになる。現在政府は、出生率改善策や、高齢者・女性の活用などで労働力を確保しようと躍起になっているが、人口動態の変化スピードに追い付けず効果は期待できない状況にある。
日本を除く先進国は、人口を出生率改善や移民増によって増やしている。日本は、子どもの数が増えるほど所得税が軽減されるフランスや、事実婚やシングルマザーの出産子育てに関する支援が手厚いスウェーデンなどから学ぶ必要があるが、婚外子への社会的差別が残り、財源難の現状では施策の導入は難しい。できちゃった婚の増加が示すように、形骸化した戸籍制度が出生率に及ぼす影響も少なくない。成熟した民主主義国家にふさわしい国民データベースの構築を目指すべきである。中長期的な計画で外国人留学生を育成し、日本文化を学んでもらい、その後国内で働いてもらう移民政策も検討すべきだろう。
少子高齢化の問題に対処する方法は、大前氏の著書『平成維新』『大前研一レポート』『決別』『最強国家ニッポンの設計図』などで以前から再三再四提言を繰り返してきた。政府は、戸籍制度を改廃し、移民を受け入れ、大都市を再生強化するなどの対策が必要であるにもかかわらず、これまでに何も実施してこなかった。 社会が変わらなければ人口動態が示すとおりの未来がやってくるのみ。日本の企業・個人は、悪化する日本国内の経済状況を静観するのではなく、かつて「人口ボーナス」に湧く時代にピアノの営業で企業を成長させたヤマハの川上源一郎氏のように、グローバルな視点で戦略を立て、これから人口ボーナスを迎える国に照準を当て、商品を売り込むほどの行動力で生き残っていただきたい。
|