マネジャーのための組織人材マネジメントを考える6回シリーズの第2回。現代におけるビジネスモデルや組織環境、経営環境の変化に応じて、組織マネジメントの在り方も変わらなければならない。典型的な流れとして、それぞれの顧客に合わせたソリューション提案型の能力が求められる昨今、組織も従来のピラミッド型とは違う、より自律的なマネジメントが必要なのではないだろうか。自律組織の構造、必要となる能力とその開発方法、考え方の伝達など、事例を交えながら解説する。
仕事のサイクルはWhat「何をする」、How「どのように」、Do「実行」、Check「検証」が基本であり、ピラミッド組織は社長がWhatを決め、中間管理職がHowに分解、部下がDoをする階層構造になっている。近年、需要が高まる顧客志向のソリューションには、チームや一人一人がWhatを考え、Howを決め、Do、Checkを行う自律組織が最適だろう。 ピラミッド組織のリーダーは一人だが、自律組織はリーダーシップ機能を分散化させるため、各自の「What構築能力」を育てなければならない。Howは知識や経験、論理思考で導けるが、Whatを思い付くためには知識だけでは不十分であり、常に思いを巡らせる思考行動特性や直感思考が必要になる。顧客に応じたWhatは正解がなく、上司による教育が難しいため、自分でWhatからCheckまでを考えて動かす課題を与え、乗り越えさせることが一番の育成になるだろう。自律性を養うためには、小さくてもサイクルを達成する習慣を付け、自己効力感が高めることが肝心だ。日本の学校教育や資格試験は正解主義の傾向が強く、社会においてもテクニック論やマニュアルの氾濫で「考えない」人が増えている。今後求められるソリューション型の仕事や自律組織に対応するためには、正解のない問題に対処する力や、持論を形成する能力を身に付けることが何より重要だといえよう。 自律組織では各自が意思決定をすることも不可欠である。例えば、さまざまなアイデアから一つを選べない場合、一番適切な案が出ていないという原因が多いように、意思決定の権限を与えてもWhat構築能力がなければ決断は難しい。自律組織は単なる権限移譲だけでなく、決断に必要な情報と意思決定能力がそろって初めて機能するものである。 「これをやれ」ではなく「考え方」を伝達することで、各自が自分で考えて動けるようになり、応用的な対応も可能になる。考え方を伝える際は、表層的な言葉ではなく、それぞれの言い方で身近な事例を交えながら、ふに落ちるように話すことを心掛けよう。
スライド 時間 タイトル 00: 00: 00 マネジャーのための組織人材マネジメント 第2回:組織の自律性を高めるマネジメント 00: 00: 49 マネジャーのための組織人材マネジメント 00: 00: 57 マネジャーのための組織人材マネジメント 第2回:組織の自律性を高めるマネジメント 00: 01: 44 自律組織とピラミッド組織(1) 00: 01: 46 自律組織とピラミッド組織(2) 00: 09: 15 リーダーシップとマネジメント(1) 00: 09: 18 リーダーシップとマネジメント(2) 00: 16: 59 What構築能力とHowの能力(1) 00: 17: 03 What構築能力とHowの能力(2) 00: 29: 43 人の能力の4要素 00: 39: 10 権限委譲だけで自律組織はできない(1) 00: 39: 12 権限委譲だけで自律組織はできない(2) 00: 50: 22 考え方レベルの伝達(1) 00: 50: 40 考え方レベルの伝達(2) 00: 54: 40 スターバックスコーヒー(1) 00: 54: 51 スターバックスコーヒー(2) 00: 58: 47 考えてみましょう