戦略的OJTを推進するために上司と部下のペアをつくり、OJTとOff-JTを融合するプログラムを作成したいという宮崎氏の依頼に、野田講師は
「メーンターゲット(負荷をかける対象)は、部下ではなくて上司」、「メーンコンテンツは、スキル教育ではなくて、リフレクション」と答えた。
研修は、事業企画部内の上司と部下、7組14名を対象として始められた。
最初にOff-JTがあり、その内容を踏まえたうえで、部下が自ら設定した高い課題に現場で挑戦する。進捗状況は上司ミーティングで報告され、リフレクション(上司ミーティング)を通してすべての問題は共有された。
上司が調整役となり、周囲の理解を得てきめ細やかな協力体制を作り上げた結果、参加したすべての組で高い成果を上げることができた。
この成功を受け、実務を遂行するなかで社員が「育ち・育てあう」関係を構築し、それを資生堂の風土とすることを目指す研修の在り方が模索された。規模を拡大し、営業部長と部下、64組128名を対象に営業研修を全国展開しようと、宮崎氏は再び野田講師に相談。
「リフレクションの機会を担保しなければいけない」、「全国に散らばる受講者への継続的な意識付け、フォローも必要だ」と指摘され、プログラムを組み直した。
最初に上司だけの集合研修があり、フォロー研修として上司を対象としたオンライン講義、ネットによるエアミーティング、意識付けのためのメルマガを週1回配信、部下には通信講座が開講され、さらに全国の事業所にフォローを依頼した。
一連のプログラムを通じて分かってきたのは、「経験」と「内省」が人を育てるということだ。困難な課題にチャレンジして没頭して打ち込み、他者からのフィードバックを得ると、成長のサイクルが回る。多くの人を巻き込み、みんなで育てあうようになると、教える者も教わる者も協働する楽しさを知ることができる。職場の雰囲気をより良いものとし、社員の成長を促す風土を作ることが、遠回りに思えても業績を上げる一番の近道となる可能性がある。