われわれは、科学的に「やる気」を引き出す方法を数多く知っているが、企業ではその手法が有効に使われていない。
モチベーション1.0は生物としての基本的欲求に対するもの。2.0はアメとムチによるもの。3.0は知的興奮など高い次元での意味付けを持たせるもの。モチベーションはこの3段階に大別される。
現代の企業の多くは、モチベーション2.0の手法を採用するにとどまる。
アメとムチによる人事管理では、内発的動機付けを失わせる。かえって成果が上がらなくなる。創造性をむしばむ。好ましい言動への意欲を失わせる。ごまかしや倫理に反する行為を助長する。依存性がある。短絡的思考を助長するといった弊害が起こりやすい。中国Foxconn社の自殺者多発問題への対応を見ても明らかなように、給料の増額だけでは、社員のモチベーション低下の根本的な解決にはならない。
人材をやる気にさせるためには、Autonomy(自律性)、Mastery(熟達)、Purpose(目的)の三つのポイントが重要になる。課題(task)、時間(time)、手法(technique)、チーム(team)といった仕事の4側面で、自律性が尊重される仕組みが要求される。
米国を中心に世界最大の家電量販店を運営するBest Buy社では、働く時間に関係なく、生み出した成果によって報酬を得る結果重視の職場環境(ROWE)を整備した。
結果、作業効率が大幅に向上し、社員のモチベーションが上がっている。
靴のネット通販を行うZapposは、送料無料で24時間365日返品自由の販売システムなど、徹底的に顧客のモチベーション3.0を満たす販売手法を採り、多くの会社が不況にあえいだ2008年でも、前年比20%増の売上高10億ドルを達成した。
ホンダを筆頭に、日本にはモチベーション3.0の要件を満たす企業が少なからず存在する。モチベーション2.0と3.0をうまく組み合わせ、やる気を持続させる21世紀の人事管理システムを構築できれば、日本企業の再浮上が期待できる。
ダニエル・ピンク氏の著、『モチベーション3.0(原題DRIVE)』も参照されたい。