宝塚音楽学校を受験できるのは中学3年生から高校3年生までの女性だけで2年間在籍すると研究生となって興行に出演するようになる。
歌劇団は花組、月組、雪組、星組、宙組という5つの組と専科によって構成され、各組には男役のトップ、娘役のトップ、男役のセカンドがいて、
この3名がトップスターとして位置づけられる。
トップになることは極めて難しく1988年から2010年までに在籍した総生徒数981名のうち男役のトップは14名、娘役のトップは27名にすぎない。
研究生6年生までは厳しく技能を評価されるがトップになるには観客を引き付ける華が必要だ。
ファンの存在は大切で劇団のメンバーは経験年数と技能評価、ファンの反応から自分の位置を知り、それに納得して退団の時期を自ら決める。宝塚歌劇団の独自性は興行主が自前の劇場と学校を持ち、生徒が演じる発表会形式をとるところにある。
学校制度を用いていることで才能ある若い人材を選抜し基礎教育を徹底することができる。
メリットとして「型の統一による美しさ」、「モチベーションのアップ」、「ネットワークの形成」、「負担の軽減と機会の増加」、「技能評価情報共有」
などが挙げられるが、安価に安定的に優秀な人材を得ることができることも重要だ。
研究生になると同期は同一の組に入るが、その後適正をみて各組に配属され興行に出演する。
これはOJT(仕事を通しての訓練)といえる。研究生6年生までは給与が支給されレッスンを継続的に劇団内部で受けることができるが
これはOff-JT(仕事以外の場での訓練)である。
宝塚のモットーは「清く、正しく、美しく」だ。
歌劇の完成度よりも少女歌劇というイメージを重視し劇団員を退団するまで「生徒」と呼んで学校の雰囲気を維持し続けることも、
女性ファンの心をつかむ一因だろう。
人材育成とビジネスが表裏一体の関係にあり、ファンを巻き込んで「生徒」の成長を見守るところに
エンターテイメント産業における人材育成の一つのモデルを見ることができる。