IFRSは、「企業のパフォーマンスを正しく測る」という投資家の視点を重視しており、原則主義、BS重視、公正価値評価の範囲拡大という3つの特徴を持つ。
これまでのPLによる利益管理から大きく転換し、オフバランス部分もBSに包含し、一定期間に自己資本をどれだけ増やせたかを見るのが大きな流れである。
企業経営に与えるインパクトが特に大きいと思われる項目について概要を説明する。
連結の範囲は、これまで対象ではなかったSPC(特別目的会社)を含め、全ての子会社が対象となる。
収益は、リスクと経済価値が買い手に移転した時点で認識する。なお、仲介取引の場合には、収益の純額のみを表示する。
開発費については、特定の6要件を満たす場合には、費用処理するのではなく、資産経常することが求められる。
持ち合い株式などの有価証券は、評価損益を包括利益に反映しなくてはならず、退職給付も数理計算上の差異を一括償却しなくてはならない。
M&Aにともなうのれんは、ブランド、顧客リスト、フランチャイズ契約など識別可能なものは極力無形資産へ配分しなくてはならない。
その結果としてののれんは、償却するのではなく、毎期減損テストの対象となる。
以上の項目の、剰余金への影響を総合的に考えると、マイナスに作用する要素の方が大きく、すでにIFRSを適用している欧州企業の事例を見ても、その傾向が現われている。
今後IFRSの導入対応が迫られる日本企業であるが、単に財務会計としての開示対応が必要なのか、
これを機に全社レベルの経営管理基盤整備をおこなうのかはそれぞれの企業の経営判断や意志によって異なる。
対応を開始する前までに、その方針や目指す姿を明確にしておくことが、無駄な投資を発生させないためにも重要である。
現時点で我々がしておくべきことは、IFRSについての勉強を始めるのはもちろんのこと、
自社に適用する場合の疑問点をリスト化しておいて、時期が来た時に一つずつ解決できるように準備しておくことである。