損害保険ジャパンは、
営業と事故調査対応が業務中心の損害保険会社で、1888(明治21)年創業以来120年を越える歴史を持つ。
約1万7千人(2009年7月)の社員を抱える同社は、社内情報の蓄積量増加に反比例して情報利用システムの非効率化が顕在化したため、
2005年4月から全社的プロジェクトチームを立ち上げ、情報の効率的運用に向けた取り組みを開始した。
チームは、インターネットSNSの草分け「mixi」での実体験を基に、新人・若手コミュニティー、女性いきいきコミュニティーなど、
マーブル戦略と称した多種多彩なコミュニティーを社内で実験し、2006年11月、自社オリジナルの「社員いきいきコミュニティ」の運用を開始し、現在は登録人数2千名を超える。
損害保険ジャパンのSNSは、
①情報と伝達、
②プロフェッショナル化、
③緩やかな統制環境を目的に、
参加者の日記と50個のコミュニティーで構成され、人事評価者を除く社員がハンドルネーム(匿名)で参加する。
SNSのルールは「経営理念・行動指針に外れる行為をしない」ことだけで、発言者の氏名は、経営・役員へも明かさない。
参加者の信頼を得て、どんな社員でも意見が言える場に成長した。
新しいものを生み出す力は「多様性(ダイバーシティ)」の中にある。
企業内SNSは、成功すれば仲良しクラブになり同質化が進む。
そのために、運営者は、時には過激な発言をして参加者のコミュニケーションに関与するなど、コンシェルジュの役割を担う。
社員は、企業内SNSを基に新しいアイデアを創出したり、知識を共有したりする。
SNS参加者は、気軽に話し合えるコミュニティーの中で緩やかな規範を築き、モラルに反した問題を初期段階から相互間で解決していく。
その活動が、内部統制を柔らかいかたちで補完する。
損害保険ジャパンの「社員いきいきコミュニティ」は、組織内の信頼を重視する日本的経営を再構築する方向性を示唆する事例として大変興味深い。