SNSの概念もない2000年当時、
キユーピー株式会社の情報は、人と人が密接に会って共有し、後輩に伝承するのが通常で、
既に社内に存在した200個以上の企業内データベース(DB)は活用されていなかった。
そこで、自社のナレッジデータベースの品質向上を目指して、中島氏を含めた6人のKM(Knowledge Management)チームを結成した。
チームは、オンラインDBが活用されない理由をデータ入力のモチベーション不足ととらえ、
「面白くないデータ入力作業を面白くする」ことで、自立、可視化、コミュニティーの3課題を解決しようと試行錯誤した。
会社側の一方的な情報発信を極力排除し、自己紹介コーナーなどで個人の業績などを紹介する電子社内報「iQP」を構築、
地方の現場で働く個人にスポットライトを当て、現場担当者が語る開発ストーリーを社内に紹介するなど、
社員のモチベーション向上に役立てている。
自らの興味でさまざまな社員が執筆を担当する「オピニオン」コーナーも大人気となり、
1年間投稿し続けて殿堂入りした人も数名存在するほどの人気に成長した。
DBへのアクセスが増加した現在では「iQP」がポータルサイト化し、
社内情報発信の有力な手段となって広報部からの情報発信依頼も多い。
一般的に、自社発の情報より社外から入る情報に社員は敏感だ。
KMチームは、「iQP」の取り組みを関連企業などの社外に積極的に紹介し、
外部からの情報を社員が受け取ることでDBの利用が進むブーメラン効果を利用し、これが奏功したと自己分析する。
「iQP」の社外向け情報発信へ向けたブログの開始など、新たな取り組みも模索する。
キユーピーは、データを整えて知にアプローチするエンジニアリング型ではなく、
土壌を整えそこから知が育っていくガーデニング型のアプローチを採用した。
その成果が出るまでに時間がかかることもあるが、ダイバーシティ化された組織のコミュニケーションを構築する手段として、
キユーピー流のSNS構築法に見習うべきところは多い。