2000年以降の外需拡大を背景に設備投資および民間消費の内需が拡大してきた国内経済は、
2008年以降、外需の急激な冷え込みによりGDPが08年第4四半期12%の減少に転じ、マイナス成長に陥った。
当面、外需の回復は期待できないため民間消費を促し内需主導マーケットへの転換を図る必要がある。
一方で国内市場はデモグラフィー(人口動態)が急速に変化し、未婚化、晩婚化、熟年離婚などの諸要因によりすべての年代にわたって家族世帯が減少し、
単身世帯中心の世帯構成を持つ国に変化を遂げた。
比較的活発な購買意欲を持つ裕福な高齢者層と不況期に学生時代を過ごして意欲・活力に乏しい青年層など、
世代間、同世代内での価値観の違いが顕著になった。
それぞれの要素が構造的に変化し、多様化しているためターゲットとなる消費者像がつかめず、
市場の複雑化・多様化が進んでいる。
現在の消費者心理は触手を閉じた「イソギンチャク」状態にあり価格が安くても必要なものしか買わない一人十色の消費など、
1990年代の価格破壊・2000年代のデフレ状態とは異なり、単なる低価格の刺激に頼るだけでは、何を買わせようとしても反応しない状況にある。
フィールドワークによる定性調査手法「エスノグラフィー」をマーケティングに取り入れることが近年注目されているように、
耳の不自由な高齢者が病院でICレコーダーを使用しているシーンを探り当て年間数万個を売ったジャパネットたかた、
子育て中の母親にターゲットを絞り徹底的なヒアリングで商品化した軽自動車タントをヒットさせたダイハツなど
隠れたニーズを見つけるために消費者に直接会い、何が顧客の感情に触れるのかを発掘できた企業が成功している。
非常に厳しい時代だが消費者心理に経営者自らが敏感になり、購買意欲を喚起するマーケティングを実践すれば業績アップの可能性は大きく広がっている。