豊田氏は、愛社精神を「恋社精神」、「奉社精神」、「愛社精神」の3つに分類している。
「恋社精神」は、会社のイメージに憧れるものなので現実を知ると気持ちが冷めてしまうことが多い。
「奉社精神」は、会社に奉仕しようとするものだが見返りがなくなると忠誠心を失ってしまう。
「愛社精神」は、企業が社員を育成することに対し社員が成長の場が与えられたことに恩義を感じて後輩を支援する方向にはたらくものだ。
これこそが今後重要になってくる愛社精神だと、豊田氏は語る。
かつて日本の企業は情緒的にも強く結びついた集団だったが、バブル崩壊後に会社を取り巻く外部環境が変化し、
成果主義が採用されリストラが一般化した結果、社員の雇用不安が増大し、働く意欲や会社への信頼感が失われていった。
失われた信頼関係を修復するキーポイントは愛社精神だと、豊田氏は考える。
職場の人間関係を強固にする要因はコミュニケーションの総量にある。
特に職場での上司や同僚との1対1の対話が充実しているほど愛社精神は喚起されるため、リーダーが担う役割は大きい。
上司が何を部下に求め、何を引き出すかが重要だ。
豊田氏は、「上司」という言葉を「情師」に替えて用いる。
「情師」は部下に良い仕事をさせることに徹する。
「情師」になるためのポイントは次の6つ。
1.自分が主人公なのだという意識を抱かせる。
2.「顧客が何を求めているのか」を問いかけ、自身の想いを繰り返し語る。
3.仕事の「型」を作る支援を行なう。
4.対話型コミュニケーションを重視する。
5.恋社精神を愛社精神へとソフト・ランディングさせる。
6.「上司」という言葉を消す。
愛社精神は自然醸成されるものではない。
上司が命令して従順な社員を育成するという方式では奉社精神は生まれても愛社精神にまで育たない。
情師が社員一人一人の能力を伸ばし人格の成熟を図ることで、社員の愛社精神を醸成していくことも、
現状打開の一つの道となるのではないだろうか。