「こんなにもブランドやブランティングが重要視される時代が来るとは想像もしなかった」。
現代マーケティングの第一人者として知られるフィリップ・コトラー氏が驚くほどに、
モノがあふれた時代には、ブランドとしての価値を持つか持たないかが商品・サービスの命運を左右する。
裏返せば、ブランド価値を作り出すことができれば、毎年売り上げが減り続けているような商品であっても再生することができるかもしれないのだ。
「ブランディング」というマーケティング上の概念が持ち込まれて久しいが、残念ながら日本では浸透していない。
その背景には、日本企業のブランディングに対する誤解があるのではないか、と関橋氏は指摘する。
例えば、企業名を前面に出したイメージ広告は、ブランド価値を付加すべき商品・サービスとのつながりが曖昧になりがち。
特に、企業名と商品名が異なる場合はブランドと消費者の距離を縮める効果が薄い。
数多くのブランディングに携わった関橋氏は、
「ブランドとは心理的な差別化要因」ととらえ、「ブランディングとは消費者の心の中にその商品を“好き”という気持ちを作り出すこと」だと説く。
そして、“好き”という気持ちを作り出すために重要な要素は「機能価値」と「情緒価値」の2つ。
機能価値は簡潔にいえば製品特性のようなもので、「消費者に対してどんな役に立つのか」を表す。
他方、「情緒価値」は“好き”を作り出すもとになる要素で「消費者をどんな気持ちにするのか」を表す。ブランドが持つ感情と言ってもよい。
人がブランドを好きになるプロセスは、
人が人を好きになるプロセスに似ている。
ブランドを人間に例えてみるとどうだろうか。仮にブランドに感情がなければ、好きになるだろうか。
つまり、ブランディングはブランドに感情=情緒価値をもたせることから始まるのだ。
人が人を好きになる理由が千差万別なように、ブランドを好きになる理由も千差万別。
だから、ブランディングには方程式もメカニズムもない。
商品・サービスごとに機能価値、情緒価値を見直し、消費者の心の中にブランドの種を撒き、消費者に育ててもらうしかないのだ。