ウクライナは約60万3700平方キロメートル(日本の1.6倍、欧州ではロシアに次ぐ面積)の国土に約4368万人の人口を持つ共和制国家である。
ロシアの隣国であり、ベラルーシ、ポーランド、スロバキア、ルーマニア、モルドバと接し、黒海を挟んでトルコやブルガリアとも近い東欧の国である。1991年にソ連邦から独立し、現在はEU加盟を目指しているため、エネルギーの大部分を依存するロシアと緊張関係が続いている。
また内政でもオレンジ革命で盟友だったユーシチェンコ大統領とティモシェンコ首相の対立があるなど混乱している。
最近では、2008年の金融危機によりウクライナの通貨(グリブナ)が年初より約70%も騰落し、国内のほぼ全ての銀行が閉鎖される事態に陥るなど国家的な危機に見舞われている。
金融危機に見舞われるまでは、ウクライナの経済は順調に成長してきた。
同国の魅力の一つは豊富な鉱物資源である。鉄鉱石の埋蔵量はロシアや中国を抑えて世界一位である。
ただし粗鋼生産では中国の10分の1以下であり、工業化には遅れている。
それでも輸出品として鉄鋼・非鉄金属が最も多く、最大の相手国はロシアである。
次にウクライナの魅力は豊富な農業資源である。
同国にはチェルノーゼムと呼ばれる肥沃な黒土地帯が分布しており、ヨーロッパのパン籠と言われる穀倉地帯である。
ひまわり、大麦、小麦などが主要農作物であるが、農業の生産性が低いためポテンシャルを十分に活かしているとは言えない。
外資導入による農業の近代化が必要と思われるが、進出はLandkomなど一部のベンチャー企業に止まっている。
またウクライナは旧ソ連時代に研究開発を担っていた地域でもあり、IT系などに優秀な人材が多いため、中東欧地域では最大のアウトソーシング市場である。
今回の金融危機により賃金が中国と同水準になっているため、さらに拡大する可能性がある。
このように鉱物的、農作物的、人的資源に魅力の多いウクライナであるが、日本企業の進出は殆どない。
もっとも、政治的に不安定であるため、内情が不透明で、法律面などの制度がいつ変更するか分からないという怖さがあるのは確かである。
そのリスクを勘案した上で、同国のポテンシャルを十分に引き出す日本企業が現れることを望む。