日本の食料自給率は年々下がり続けており、平成19年度はカロリーベースで40%、穀物自給率は28%であり、先進国中最下位となっている。
外食産業や消費者の低価格化圧力は大きく、日本の農業を儲からないビジネスにする理由の一つとなっている。
儲からないビジネスに若い世代が参入することも少なく、生産者は高齢化・減少の一途をたどり、このままでは日本の農業に関わるノウハウが途絶えてしまう危険に晒されている。
まさに日本の農業は“安楽死”に向かっているのだ。
そんな農業にITの技術を採り入れることで、イノベーションを起こすことが期待されている。
第一に、安心・安全で信頼できる食を提供するためのトレーサビリティにITの活用は不可欠である。
例えばある農家では、農薬の利用をスマートフォンで記録し、ネットで履歴を閲覧できるようにしている。
このデータが中間流通を通じて小売店や消費者に届けば、いつでも確認できるシステムとなる。
また生産者は、このデータを農薬利用判断ソフトで分析することで、安全な農薬の使用方法を守ることができる。
第二に、高齢者から次の世代にノウハウを伝えるためのマニュアルづくりにITが活用できる。
日本の農業を後世に伝えるためにも、現在の生産者が長年培ってきたノウハウを分かりやすく残しておくことが不可欠である。
第三に、儲かる仕組みを作るためにITを活用できる。
畜産においては、ITによる個体管理を進めており、高価格商品とするための交配や飼料のノウハウを蓄積している。
製造業では当然のこととして行われているこうしたデータの蓄積が、農業分野では行われてこなかったのである。
一つは生産者が高齢者であり、ITに馴染まないという問題があった。
しかし、高齢者であっても、役に立つ、メリットがあるということが具体的であれば、使いこなすことができるという事例がある。
日本の農業は世界的にもレベルが高いが、今までそれを消費者に伝える努力を怠ってきたことは否めない。
そのためにも、ITを活用して、必要なデータを蓄積し表示するルール作りを進めるべきである。
今、ようやくITのインフラが整ってきた。
今後、農業分野にITが貢献できることは多い。