1934年にシュンペーターが唱えたイノベーションという概念は、現代では「何か新しいことをする」「現状を打破する」などの意味で使われ、暗黙のうちに「アウトプット水準の変化」として考えられる傾向にある。
物や機能が足りない経済の成長段階では、機能的パフォーマンスの上昇が価値の向上に直結するなど、機能と価値の写像関係は単純であった。
成熟段階を迎えた現代経済では、外部システム再定義の必要性・有効性が高まり、イノベーション・マネジメントを再考すべき時に来ている。
しかし、「イノベーション」の中身がはっきりしない限り、その創出のための処方箋は描けない。
そこで、イノベーションの対象となるシステムを
(1)物理、
(2)機能、
(3)価値の
3層の間に発達した写像関係として記述し、その上で、内部システムと外部システムの変化の組み合わせから製品イノベーションを類型的に把握する。
そこでは、
①リニアイノベーション、
②組み替え型イノベーション、
③カテゴリー創出型イノベーションの
三つの類型として分類され、内部システムと外部システムの変化割合によって、9個のレベルに区分される。
例えば、単なる技術革新にとどまっているゲーム機のPS3、PSPは、リニアイノベーション。
内部システムが変化したハイブリッド自動車のプリウスは、組み替え型イノベーション。
独りで記入するだけの日記帳から発展進化して、ネット上で不特定多数に情報発信してコミュニケートできるツールとなったブログは、カテゴリー創出型イノベーションなどと分類される。
現状を正しく分析することによって、技術の進歩を求めるだけではシステム再定義としてのイノベーションが容易に達成できないことに気付く。
イノベーションの本質は、「社会的に構成された既存のシステム境界に対する挑戦」である。
ただ技術革新を追い求めるのではなく、システムを俯瞰する能力を磨き、製品の境界を再考することで新たな価値を生み出す真のイノベーションを起こすことができるだろう。