ガースナーは変革をどのようなステップで行ったのだろうか。まず、ロードマップ1で危機感の醸成を行った。大赤字を出してもIBMには危機感を持った者はいなかった。役員自身が顧客の元に足を運び、要望や問題を聞きだすように仕向けた。
ロードマップ2ではIBMに最も必要でないものはビジョンであると言った。危機の状態にある会社は出血を止めるのが第一なのである。
ロードマップ3の変革へアプローチでは、IBMが変革への力が強いが構えが低いという状況であったため、ボトムアップではなくトップダウンの方法を取った。
ロードマップ4の変革の計画はIBMが危機の状況にあることから、売上高の増大ではなくコスト削減から始めた。
ロードマップ5の強力な推進体制を整えるためにガースナーは外部から二人のメンバーを経営幹部に招聘し、トップにリーダーシップチームを編成した。
ロードマップ6のフォロースルーにおいては、変革のメッセージを伝えるために、ガースナーはCEOとして最初にe-mailを使い、頻繁に現場を訪れた。
就任2年後にサービスの重要性をe-bizというビジョンで表す。
2003年には5万人の社員がネット参加したバリュージャムを開催、変革を成し遂げたところで2003年にトップの座を生え抜きのパルミサーノに譲った。
バリュージャムを通じて定められたクライアントのための献身、イノベーション、信頼と責任という価値観は、実は創業以来のIBMのカルチャーとも言ってよいものである。
オンデマンドという新しい戦略に基づきPWCを買収、PCをLenovoへで売却したが、IBMにおいては「Think」が依然として重要であった。
変革におけるカルチャーとリーダーの役割の関係は、リーダーは良いカルチャーの復活を困難にしている要因を考え、それを取り除くことである。
日産の事例で考えてみると、カルロス=ゴーンは当初コストカッターと言われたが、「技術の日産」のシンボルでもあるフェアレディーZやGTRの開発を復活させている。
良いカルチャーを復活させることが企業を変革へと導き、活性化する原動力になるのである。