関西大学在学中に女子大生を集めてモーニングコール事業を立ち上げ、学生起業家として注目を集めた経験もある中村社長の経営の勘どころは、「あったらいいなと思うものをつくる」ことにある。
卒業後入社したリクルートでは、雑誌「月刊ハウジング」に載せる住宅機器メーカーへの広告営業職に就くが、営業のいろはも知らない当初は、ただがむしゃらに電話をかけ、アポイントを埋める日々が続いたという。転機は失敗から訪れた。
ノルマ達成のため、翌月掲載予定の広告を前倒ししてもらえないかと某家具メーカーの担当者を待ち伏せしてまで頼み込んだところ、相手方を激怒させてしまった。
数字を追うだけの営業は相手のメリットにはならないと気づき、以後はどうすれば顧客に喜んでもらえるかに主眼を置いた企画提案型営業を心がけた。
某仏壇メーカーへは、雑誌掲載の新規住宅400件を独自に分析し、7割に仏間ありという今までなかったデータを提示して広告依頼を勝ち取った。
契約成立に至る過程は、9割が担当者に会うまでにいかに綿密な企画を立てられるか、実際に会ってひと押しは1割というのが中村社長の信念である。
出産を機にリクルートを退職し、子どもの成長を待って再就職した先は、弁当屋のほっかほっか亭を経営する株式会社ハークスレイだった。
核家族化、個食化、家庭での料理の簡便化が進み、外食ほど経費がかからないこともあって、中食産業はこれから成長するとの狙いからだ。
従来のチラシ営業に限界を感じ、ネット注文に乗り出した1999年、「出前館」の存在を知り、コストの安さ、集客への期待が見込めるとして加盟を決める。
「出前館」が同業他社より優位だったのは、地道な働きかけで加盟店を増やし、対店舗にはネットではなくFAXを使った簡便な注文確認法でスピーディな配達を可能とした点にある。
出前館からのネット売り上げは現在1店舗平均3%。これを10%にまで上げ、加盟飲食店舗を2万5千件にするという目標実現に向けて、サービスのさらなる進化を目指す。