内的報酬を高めるシステムは、
「就労環境」
「仕事内容」
「キャリア」
という三つの分野でバランスよく構築されて初めて効果を上げる。
留意せねばならないのは、内的報酬の王道はあくまで「仕事内容」であり、都会の一等地に立つオフィスや、失恋休暇などのユニークな制度が社員を引きつけるのは一時でしかないことである。「A computer on every desk and in every home」という大きな野望をスローガンに掲げ、19歳のビル・ゲイツがマイクロソフト社をスタートさせたのは、
小さな倉庫というお世辞にもいいとは言えない環境だったが、この社を世界一のIT企業にならしめたのは、「途方もない夢を実現する」という仕事の面白さそのものであった。
内的報酬を生み出す主要な源泉は、
「自己効力感」
「ソーシャルサポート」
「家族関係」
にある。
マネージする側には、個々人に小さな成果・成功をしっかり認識させる、それぞれの性格を踏まえたうえで対外部、対内部の相性問題を放置しない、
家族関係で悩む社員には見守る姿勢を示すといった、個別具体的な対応で内的報酬の生じる土壌を整備することが求められる。
内的報酬の実施には、内面を含めた社員把握の徹底と管理が不可欠である。
決して容易なことではないが、避けて通った先に道はない。
内的報酬の効果を急ぐあまり陥りがちな傾向として、他社の成功例をそのままコピーしたり、思いつく限りの「制度」を設置して安心してしまうことが挙げられる。
自社の内実に即さない、コストにも見合わない制度導入はお飾り以下の無駄に過ぎず、やみくもに傾倒して失敗した成果主義の二の舞となるのは明らかだ。
人材をコーディネートする人事には、
制度の運用はできるが構築はできない「制度運用型人事」、構築はできるが機能はできない「制度構築型人事」から、
制度を実質的に機能させることのできる「制度機能型人事」への転換を図る必要がある。
このステージにまで達すれば、企業にはおのずと競争力がつき、社員も幸福感を得て働くことができる。