65万部を超えるベストセラーとなった前著の『下流社会』以来、「階層」といった切り口でマーケティング研究を続ける三浦氏が目下注目しているのが、ジェネレーションZである。
この世代では、戦後の日本社会で良くも悪くも通念としてまかり通っていた「常識」がことごとく覆されている。
良妻賢母が死語となり、教育の現場では性差よりも個性を重視し、男女ともに「あるべき姿」を押しつける場面がなくなった。
結果、女性の男性化とも言うべき現象が生じているという。ジェネレーションZを対象に実施したアンケート調査では、高学歴で経済的にも恵まれた「上流」女子ほど自らを分析するキーワードの上位に
「決断力、包容力がある」
「意志が強い」
「何事にもチャレンジする」
「気が強い」
「人の上に立つ」
を挙げており、その比率は「下流」女子はもとより、「上流」男子よりも高くなっている。
親分肌の気質を持つ彼女たちは、リーダーとして活用できる人材の宝庫である。
女子が希望する職種ランキングの9位に「キャバクラ嬢」が入っていることに対し、三浦氏は「驚くことではない」という。
正社員への道は厳しいが、先輩たちがフリーターとなって苦しんでいる状況を目の当たりにしているZ世代は、就職というものを冷静にとらえている。
身分の不安定さは非正規と同じでも、収入は水商売のほうが断然高い。
若いうちに稼げる職業として自覚的に選択し、ある程度貯金ができたら、自分のしたいことをするという戦略を持っている。
Z世代は、仕事の目的をお金と挙げる一方で、仕事を通じて自己の成長、社会の役に立っているか、自分が必要とされているかを感じたいという承認欲求が強い。
裏返せば、意欲と能力の高い人ほど、成長実感、社会への貢献度が感じられないと、3カ月とたたずに辞めてしまう傾向がある。
彼らに「石の上にも三年」は通用しない。
小さな達成感を与えて欲求を満たし続けることが長期雇用の鍵となるだろう。
詳しくは三浦氏の最新著『日本溶解論』(スタンダード通信社)を参照されたい。