職場のIT化は人を単純作業から救い出した反面、個人に対して高度なスキルを要求する結果を生み、意欲やノウハウだけでは成果に直結しないという現象を引き起こしている。
もはや個人の内からなるモチベーションだけで高レベルの目標を達成するのは困難である。
ワトソンワイアット社が2007年に実施したリーダーシップサーベイでは、求める上司像に「内的報酬を提供」「個別のマネジメントを実施」が挙げられているように、小手先の報酬や単に褒めて伸ばす形式は通用しない。
期待されているのは、尊敬される上司であることという人間性そのものによるリーディングである。マネジメントのレベルには三つの段階がある。
第1が上司自身の自己の向上に部下を巻き込むSOCIALIZING。
第2が方向性と問題解決を積極的に打ち出すVISIONING&INNOVATIONG。
第3が今までになかった仕事をつくりだし、内的報酬を提供するMOBILIZINGだ。
個人の働く動機として、埋められない欲求を満たすための欠乏動機ではなく、純粋に自分を高めたいという成長動機が主流を占めている現状においては、MOBILIZINGステージでのマネジメントを実施できれば理想的だが、この能力は一朝一夕で会得できるほどたやすいものではない。
リーダー自身には、
「コミュニケーション」
「論理力」
「自己認知力」
「他者理解力」
「使命感」
「一貫性ある意志力」
の6分野において、第1段階から地道にマネジメントを実践していく努力が求められるが、まずそういったリーダーを選定し開発するトップが心がけておかねばならないことがある。
MOBILIZINGレベルの管理者を育て上げるには、個別支援体制を敷き、資源の提供をするなど、コストがかかる。
すべての組織や部署においてやみくもにこのレベルのリーダーを求める必要はない。
各分野における部下の能力や仕事内容の変化を見極めながら、それぞれに最適なレベルのリーダーを常に育成・選抜しておくことで、経営資源・人材資源を効率よく使ったコストパフォーマンスの高いマネジメントが可能となる。