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> 組織人事ライブ471:高橋俊介

主観を磨く意思決定
ゲスト:長瀬勝彦氏(首都大学東京 大学院教授)


概要:
経営判断のような大きな問題から日々のルーチンワークまで、ビジネスシーンにおける意思決定のプロセスでは、客観的な判断に基づく合理的なアプローチが重視されてきたが、ロジカル・シンキング一辺倒では解決できない場面もあり、クリエイティブ・シンキングによる主観的な意思決定が求められている。
今回は首都大学東京 大学院の長瀬教授をゲストに招き、意思決定がバイアス(偏り)によって無意識に歪められる事例を交えながら、主観的意思決定の本質を理解し、その質を高めるための発想の手法を学ぶ。
これまで経営戦略論や経営組織論など、経営学の多くの分野が想定してきたのは、
確固たる価値観、評価のものさしに基づき、選択肢の一つ一つをいくつかの属性から数値的に判断して、合計点の高いものを選ぶという、冷静沈着に選択肢を分析し熟考したうえで意思決定が是とされてきた。
こういった合理的プロセスでなされた意思決定は、ほんとうに効率的なのか。

通行人に5種類のジャムを試食してもらい、ランクを付けさせる実験をしたところ、専門家とほぼ変わらぬ答が返ってきたが、「なぜおいしいと思うか」の理由を求めると、成績はとたんに悪くなった。
舌ざわり、酸味など細かい分析にとらわれ、全体を見失ってしまったのだ。

1985年、アメリカのコカコーラ社はペプシ社のコーラに対抗し、綿密な市場調査と広告戦略を駆使して味覚の配合を変えたニューコークを発売したが、消費者から抗議が起こり、大失敗に終わった。
論理的な分析によるマーケティングの限界を物語っている。

意思決定においては、自らの「直感」の要素が加味されてこそ、賢い選択が可能となる。
ただ直感には簡便さと引き換えにバイアスがかかっていて、意思決定のプロセスを歪めてしまうおそれもある。
直感は万能ではない。

例えば新たな市場へ参入する際、ライバル他社に打ち勝てるか、採算は取れるかといった慎重な計算が必要になるが、大きな収益の気配がするからといっただけの理由で過剰参入に陥るケースも多い。
ノーベル経済学賞受賞のダニエル・カーネマンのプロスペクト理論によれば、人は一般にリスク回避型で、なるべく確実なものを選ぼうとするが、損失にかかわる問題だと認識したとたん、リスクの高い選択肢をとることがある。
これはゆがんだ直感が招いた誤った選択に起因する。

意思決定理論研究者であるジェラット博士によれば、直感は磨けるという。
右脳を活用し、常に決定をした先にある自分の将来をイメージする習慣をつければよい。
主観の悪い部分を客観的にコントロールすることができれば、選択の精度は飛躍的に増す。

 講義タイムテーブル:
スライド 時間 タイトル
00: 00: 00 主観を磨く意思決定
00: 00: 20 本ファイルの内容の一部、または全部を無断で転用・転載することを禁じます。
00: 01: 05 長瀬勝彦氏 プロファイル
00: 02: 32 本日のテーマ
00: 02: 36 今日の流れ
00: 03: 16 意思決定とは
00: 03: 58 経営と意思決定
00: 06: 03 「合理的な意思決定」の神話
00: 07: 22 フランス陸軍の軍服
00: 09: 18 「合理的」な意思決定プロセスとは
00: 10: 19 計算例
00: 12: 22 分析と熟考で意思決定が改善されるか
00: 15: 00 「合理的」な意思決定過程の問題点
00: 16: 10 合理的な分析の限界:”New Coke”の大失敗
00: 17: 38 直観
00: 17: 57 無意識
00: 20: 26 意識vs.無意識
00: 23: 22 ミスター・スポックを探して
00: 24: 36 神経化学における発見
00: 26: 17 感情と理性の折り合いとしての意思決定
00: 29: 01 人間の意思決定
00: 29: 53 ビジネスの意思決定
00: 30: 49 1.意思決定のフレームとは
00: 31: 01 Q.アフリカ
00: 33: 27 KEYWORD:投錨効果(アンカー効果)
00: 34: 36 2.市場への参入の意思決定
00: 34: 44 なぜこんなに数多くの企業が参入するのか
00: 35: 55 みんなが優良ドライバー?
00: 36: 33 KEYWORD:自信過剰(Overconfidence)
00: 36: 58 参考:自信過剰の効用
00: 38: 14 Q.サイコロ
00: 39: 31 KEYWORD:コントロールの幻想
00: 41: 34 3.市場からの退出の意思決定
00: 41: 49 退出の意思決定の難しさ
00: 43: 30 Q.どちらの株を売るか
00: 45: 09 KEYWORD:プロスペクト理論
00: 47: 04 KEYWORD:損失回避
00: 49: 18 Q.どっちのポロシャツ?
00: 51: 02 KEYWORD:埋没コストの心理
00: 53: 13 Q.チキン・ゲーム
00: 54: 24 KEYWORD:弱虫ゲーム
00: 59: 09 今日のまとめ
講師紹介: 高橋 俊介(たかはししゅんすけ)
慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授
組織・人事に関する日本の権威の一人。プリンストン大学大学院工学部修士課程修了。マッキンゼー・アンド・カンパニー、ザ・ワイアット・カンパニーに勤務後、独立。
人事を軸としたマネジメント改革の専門家として幅広い分野で活躍中。主な著書に「自由と自己責任のマネジメント」「自立・変革・創造のマネジメント」「キャリアショック」「組織改革」「人材マネジメント論」がある。

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  アシスタント:岩崎里衣

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