トータル・リウォーズの枠組みは、
①人事考課と無関係に市場水準や法令に従って設計すべき報酬で、基本給、有給休暇、福利厚生、退職金、社会保険など、一律に支払う外的報酬。
②主に業績考課に応じて支払われるべき報酬で、賞与、ストックオプション、報奨金など個人差を付けて支払う外的報酬。
③働く環境をよりよくする報酬で、フレックスタイム制、ワークライフバランス支援、ストレスマネジメント、サークル活動など、一律に提供する内的報酬。
④主にコンピテンシー評価に応じて与えるキャリアに関しての機会で、自由裁量権の付与、仕事へのアサインメント、留学、社外派遣など、個人差を付けて提供する内的報酬、
の4種類に分類できる。
この制度を、人材の多様化に応じて使い分けていかなければ、社内のモラールを維持向上させることはできない。
例えば、成長期にあり採用を拡大したい組織の場合は、一律な外的報酬を中心に報酬を設計する。短期的成果が求められる状況にあれば、個人差を付けた外的報酬にウエートを置く。
社員のモラールが低下していて全社的に一体感を醸成したい場合は、一律の内的報酬を手厚くする。
ハイパフォーマーのリテンションが重要課題となっている組織では、個人差を付けた内的報酬に重点を置くなどといった対応が望まれる。
トータル・リウォーズの制度をより安定的に機能させるために、
パワーハラスメントなどで内的報酬を低下させる管理者の排除、
社員個々人の興味・関心事などのデータを詳細に蓄積し管理者に提供、
組織全体における定期的な意識調査の実施、
内的報酬を報酬と社員に認識してもらう社内マーケティングの充実
などが肝心である。
現在の管理職に多い旧ハイパフォーマーは、過去の栄光だけで低業績の部下を条件反射的に叱責するだけでは問題解決に向けた取り組みが行えないため、モラール低下の引き金になる。
ダイバーシティの環境下にある現代では、質の高い管理者による企業運営が成果主義以上に求められている。