「単純化・一般化に陥る人事」に対して指摘するポイントは6つ。
1.人事の一般化と個別化の混同
学者が行うのは過去の人事施策の調査・分析とそれに基づく普遍化であり、企業は未来の課題に対処するための、その企業らしい人事を構築していかねばならない。
2.人事にグローバルスタンダードはあるのか
米国で1960年代に職務型人事制度が広まったのは、1964年の公民憲法制定を背景に、人種や性別など、差別となりかねない要素をすべて排除しようとした結果である。
ある国である制度が流行るのにはわけがあり、普遍的正解の人事制度は存在しない。
3.人事にはトレンドがあるのか
人事制度の変化は、ビジネスモデルの変化の問題でもあり、「他社がやっているから」という理由での導入はうまくいかない。
大事なことは、変化のドライバーとなっているものを理解することである。
4.表の人事と裏の人事の混同
1990年代から普及した成果賃金について、「処遇にメリハリをつける」「組織を活性化する」という会社の説明はすべて表の顔であり、
モチベーション理論をベースに議論することがそもそもの間違いである。
5.人材育成の一般化と個別化の混同
企業によって目指すべきリーダー像は違うので、普遍的モデルと自社の個別化を混同すべきではない。
それ以前に、自社の差別化の源泉がリーダーにあるのか、それともそれ以外の部分かを認識することで、人材育成の個別化について取り組むべきことの違いも見えてくる。
6.ビジョンと人事のリンクが個別性
戦略とは競争優位構築のための、経営資源の意図的傾斜配分のことであり、企業ビジョン実現のためにそんな組織や人材が必要か、が組織人材ビジョンである。
近年、中長期的な差異化は人でしかできない部分が増えてきており、資源の集中と個別性の高い人事がどの企業にも求められてくる。
以上6つの視点から「一つ一つの人事施策には背景があるのであって、普遍解というわなに陥らずに、個別性の高い人事を構築することが重要である」ことを強調する。