サブプライム問題で成長の鈍化が予想される米国を尻目に、欧州連合(EU)は、名目GDPが世界第1位の18兆ドル(2007年)に成長した。
加盟27カ国、4.9億人という巨大なマーケットを背景に、リサイクル法、鉛フリー対応、二酸化炭素排出権取引など、数多くのEU基準・規制が世界標準を先導する。
いち早くEU基準に適応した黒煙除去フィルターメーカーのイビデン、空調機器のダイキンなどの日本企業は、欧州でのシェアを急拡大している。
今後ますますEU標準への迅速な対応を企業は迫られることになろう。
EU加盟国は厳しい財政目標を維持しているため、ユーロは世界で唯一ルールが明確な通貨として盤石の位置を築いた。
そのため、世界の投資マネーはユーロシフトが加速、民間銀行の外貨準備高は米ドルと肩を並べる。
EU域外においても、約40の国・地域が為替制度をユーロにリンク、エネルギー需要で好景気のロシアもEU加盟を目論んでいる。
国境を超えた消費行動、就業行動を行う「ジェネレーションE」新世代が台頭、現在約4,000万人がEU域内を自由に行き来し、経済活動を支えている。
音楽番組のMTVを視聴し、ファイナンシャルタイムズを読む彼らの特徴をとらえ、最適なマーケティングを行うことが、企業の欧州経済戦略の鍵となる。
EUの企業は、人件費が低い東欧へ生産拠点を移し、人材豊富な西側先進国へR&D・事業統括拠点を移管。
EU内で経済活動を完結できるようにすることで、巨大市場の中国に頼らずとも自活可能な体制を確保した。
日本企業は、旧態依然の国別対応から脱却し、欧州大陸の全体の中での位置付けを考慮した上で、生産、販売、物流、業務機能などの各拠点を最適配置する必要がある。
現に、早くから欧州統括本部を設置して戦略を立ててきたトヨタ、コマツは、好調な業績を続ける。
2030年には、インドが日本のGDPを上回り、世界経済はEU、米、中、印の四極体制になると大前研一が予測。
この四極を見据えた経済戦略が、今われわれには必要である。