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> 大前研一アワー230

【向研会】官製不況


概要:
近年の日本は、頻発する企業不祥事や社会問題に対し、弱者保護、コンプライアンス重視の観点から立法・行政が打ち出した一連の法改正によって、
需要の減退、不動産・株式市場の低迷、中小・零細企業の倒産増加などを誘発する「官製不況」の状態にあり、いまだ好転の兆しがうかがえない。
いかにしてこの不況を乗り越え、経済を立て直すかが日本の最重要課題となっている。
2001年に総理に就任した小泉氏は、規制緩和を柱に構造改革を強力に推進した。その後、安倍氏、福田氏へと政権が交代した2008年の今、
頻発する企業不祥事、年金混乱などの社会問題に直面し、弱者保護を名目に保護行政・規制強化の方向へと逆戻りしている。

例えば、耐震偽装対策で成立した改正「建築基準法」では申請・確認が厳格化されたが、
施行準備期間が1カ月、マニュアル配布が施行2カ月後など現場に大混乱を招き、住宅着工件数が法施行前の約6割に激減した。
新株予約権を活用した敵対的買収防衛策に外資系ファンドが訴訟を起こしたニレコ事件に教訓を得て、
企業の過剰防衛を戒めるために作成されたはずの経済産業省の『買収防衛指針』は、投資家不在のメンバーで作成されたため、
守備側に有利な内容となり、逆に経営者側が買収防衛を正当化するための指南書となった。

「金融商品取引法」の一元化により、金融庁の監督権限が拡大し、国内外のファンドを完全に監視下に置いたが、2006年以降、
不動産投資信託の値動きを示す東証REIT指数が急騰する中、金融庁がファンドに対して業務改善命令を多発した結果、不動産市場から外国系ファンドの資金が離脱した。
企業の買収防衛策導入を促進させた経産省と、ファンド規制を強化した金融庁の連携により、外国人投資家の売りを加速させ、株式市場の低迷を長期化させている。
コンプライアンス強化のために施行された日本版SOX法によって、上場企業は業務運営に大きな負担を強いられ、未上場企業にとっては上場意欲をそぐ結果になった。
グッドウイルなどの派遣労働事業者の営業停止によって、失業者の増加、企業の日雇い労働力不足が予想され、将来的に産業の空洞化を加速させるであろう。

日本経済再興のためには、官製不況の実態を明確にし、原因・問題点を分析して、官僚だけの問題にとどめず、マスコミ、企業、消費者すべてが自ら冷静に判断し的確に対処すべきだと語る。
著書『日本の真実』も参考下さい。

講師紹介: 大前 研一(おおまえけんいち)
経営コンサルタント
マサチューセッツ工科大学大学院博士課程修了後、日立製作所、マッキンゼージャパン会長を経て現職。カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)大学院政策学部教授、オーストラリアのボンド大学の客員教授でもある。著書多数。

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