異業種格闘技とは、異なる事業構造を持つ企業が、異なるルールで、同じ顧客ないし市場を奪い合う競争のことである。
近年、異業種格闘技の事例が急速に増加しており、企業側もこれまでの業界のルールに従うだけでは、生き残ることができない経営環境になりつつある。
例えば、急速に業績を伸ばしているセブン銀行は、わずか900億円の預金残高しかないコンビニでの決済に特化した銀行である。
融資業務を行う既存の銀行から見れば「あれは銀行ではない」という事業内容であるが、顧客を奪っている以上、競合である。
この他にも、パソコンや携帯電話での決済を主業務とする銀行も現れており、既存の銀行というイメージだけでは競争環境を捉えきれなくなっている。
音楽レコード業界においては、CDやビデオの売上が減少しているのに反して、インターネットやモバイルによる音楽配信が急速に増加している。
既存レコード業界に対して、ネット配信は小売店や卸などの流通を必要としないためコスト構造やビジネスモデルが全く異なる競争となっている。
既存企業同士でも、既存業界の枠を超えた戦いが起きている。
化粧品事業に参入した花王と既存の化粧品メーカー、雑誌販売の主流となりつつあるコンビニエンスストアと町の書店、冷暖房や調理機器におけるガスと電気事業者の競争などを見ると、
従来の競争事例では図りきれない状況が数多く起きていることがわかる。
業界によってコスト構造や儲けの仕組み、事業目的はそれぞれ違うものである。
その異業種同士が戦うのだから競争のルールは同じものとはなりえない。
既存の業界に安住し、これまでの競争ルールに対応しているだけでは、異なる強みを持つ企業に対抗することはできない。
むしろ既に成功している企業ほど失うものが大きいので弱いと言える。
異業種格闘技の本質はビジネスモデルの争いである。
そのことを理解して、新しい競争環境を生き抜いていくことが必要である。