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大前研一アワー > 大前研一アワー38

【福岡向研会】
一人勝ちの経済学


概要:
最近「一人勝ちの経済学」という現象が見られるようになっていますが、 これはどのような現象であり、また経営にとってどのようなインパクトがあるものなのでしょうか。

今回は消費財における「一人勝ち」現象というものを見ていきながら、 このような時代に求められているものとは何なのか、またこのような時代に企業が生き残っていくには どのようにすればよいのか、という点を見ていきたいと思います。

●多様化の時代

現在の時代は多様化の時代であるといわれます。このような時代では、「商品がよければ売れる」とは限らず、もっと数値ではかれないもの、つまり消費者の感情に訴えるような商品を生産しなければなりません。

最近では商品が多様化すればするほど、消費者の選択肢が狭まっているように思えます。つまり「一人勝ち」の商品が生まれてきているのです。

●「一人勝ち」の特徴

「一人勝ち」現象は、「熱しやすく冷めやすい」という特徴をもっています。つまり、その優位は長続きしない場合が多いのです。例えばビール業界の例を考えてみましょう。

キリンはビール業界で60%以上のシェアを誇っていましたが、メーカー名のラベルを隠したブラインドテストでは、地域ごとにキリン、サッポロ、アサヒで各1/3の支持を得ました。ほとんど差が出なかったのです。ではなぜキリンは消費者からこれほどの支持を得ていたのでしょうか。それは「鮮度」の差であったのです。キリンは「鮮度がよい」というイメージを消費者は持っていたため、これほどのシェアを保つことが可能であったのです。その後アサヒは「鮮度」を前面に打ち出した「スーパードライ」を発売しますが、これによってキリンはシェアを著しく失うこととなります。

●イメージが大切

上の例で分かるように、このような多様化の時代に大切なのは、消費者に「いいイメージ」を与えることなのです。

最近の若い世代は、「サウンドバイト(ほんの短いメッセージ)的思考」であるといわれます。直感的に物を考え、あまりロジックを形成することがないのです。これにはマスコミの影響も大きく関与しています。つまり、メディアによる「刷り込み」が行われているのです。このような環境では、「メガヒット」が生まれやすくなっています。

各企業は、複合的に活動を行い、ブームを作り上げることが必要になるでしょう。 それによってブームを爆発させ、イメージを実体化させることが必要でしょう。

●これからの経営のスタイル

これからの経営のスタイルには、大きく分けて3つあると思います。これまでの経営の軸に加え、「ボーダレス経済」、「サイバーエコノミー(Eコマース)」、そして「Multiple経済」の3つの軸です。

このなかでとりわけ重要なのは、「Multiple経済」です。イメージをMultipleに変えて、売上が小さくても、株価などには実際より大きな企業であるように反映させることができる、ということです。今日では、売上が小さい会社が イメージをMultipleに変えて、自社株買い付け(自分の株式と相手の株式を交換すること)によって、実態のある大企業を買収する、ということが起きています。

 講義タイムテーブル:
スライド 時間 タイトル
00: 00: 00 一人勝ちの経済学
00: 50: 04 地方企業の1人勝ち戦略1
00: 51: 15 地方企業の1人勝ち戦略2
00: 53: 47 1人勝ち戦略の最も難しい課題は、頂点を究めるまでよりも、それを維持することにある
講師紹介: 大前 研一(おおまえ けんいち)
経営コンサルタント
マサチューセッツ工科大学大学院博士課程修了後、日立製作所、マッキンゼージャパン会長を経て、現職。カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)大学院政策学部教授、オーストラリアのボンド大学の客員教授でもある。
著書多数。

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