世界の医療団(メドゥサン・デュ・モンド)は、1980年にフランスの医師によって設立された国際的なNGO(非政府組織)である。
世界的な知名度の高い「国境なき医師団」と設立者は同じであるが、1970年代のベトナムのボートピープルに対する医療支援について、
内政干渉にあたるかどうかの判断で対立した結果、新たに柔軟な国際的人道支援が可能な組織として設立された。
現在ではフランス、スペイン、アメリカ、日本など欧米を中心に16カ国のネットワークを通じて、世界各国で180のプロジェクトを展開している。
世界の医療団の第一の使命は「治療すること」である。
治療を受けられない環境にいる人々に対して、国境、人種、思想、宗教などの壁を越えて、医療支援を行う。
支援対象は、エイズ患者、紛争の犠牲者、女性、子供たち、避難民、社会的弱者などで、アフリカなどの発展途上国だけではなく、
先進国のホームレスや麻薬常用者などにも支援を行っている。
同団体の第二の使命は「証言すること」である。
医療行為を行うだけではなく、その医療行為が必要となった原因や医療行為へのアクセスの妨げになっているものについて、
積極的な証言活動やアドボカシー活動を行っている。
グローバルな活動を行う際、これにかかわる人たちは人種・国籍・言語・宗教などの背景が異なるため、共有できるミッションが重要となる。
これは、NGO/NPO組織だけの課題ではなく、グローバル企業にも共通する課題といえよう。
活動内容としては、
自然災害や紛争などの緊急対策である3ヶ月程度の「緊急プログラム」と、その後の地域社会の自立を目指す3年から6年の「長期開発プログラム」がある。
また先天的な疾患やけがにより顔面などに損傷のある人のために外科的治療などを施し、
通常の社会生活を回復する「スマイル作戦」というプロジェクトもある。
世界の医療団の最も重要なリソースは「医師のネットワーク」、言い換えれば「人材データ」である。
フランス本部では、すべての登録医師の情報を管理し、災害が発生した際、能力的・地理的な条件を満たした人材を迅速に派遣できるような仕組みを構築している。
これも、グローバル企業が参考とすべき事項であろう。
世界にはグローバルに活動するNPO組織が数多く存在している。
日本の企業がグローバルにビジネスを展開する際には、グローバルなNPO組織と協力しながら社会活動を通じて、海外での社会的信頼関係を構築するという方法も大いに検討できそうだ。