特定非営利活動法人フローレンスは、病児保育“レスキューネット”の運営や、病児保育立ち上げ支援などを行うソーシャル・ベンチャーである。
病児保育とは、風邪や発熱など突発的な状況で保育園では預かってもらえない子供を預かりケアすることである。
ユーザーのニーズが高いもののサービスの展開が少なく、保育領域の中で最も社会的取り組みが遅れている領域といわれている。
病児保育を事業とする事業者が増えないのは、国の政策に問題があるからだと思われる。
同領域の事業を行うと国から小額の補助金が出るが、価格決定の自由が奪われるなどの制約が多く、結果として経済的に自立できない事態となるため、新規参入が増えないのである。
そこでフローレンスは、突発時に「かけつけレスキュー隊」が出動する無店舗型のサービスとし、
定額の月会費を払えば利用料金は無料とする報酬体系をとって収益を確保し、補助金に頼らない事業モデルを構築した。
事業運営資金をプールしにくいNPO法人にとって、いかにプロモーションを行うか、が課題になることが多いが、
同法人はボランティアとして参加するメディアのプロフェッショナルから適切なアドバイスをもらうことなどを通じて、
多くのメディアに取り上げられる、いわゆる「パブリシティ」を得ることに成功している。
代表理事の駒崎弘樹氏は、学生時代にIT系ベンチャーを創業し成功を収めたが、おカネ中心の世界に疑問を感じて退職。
その後、母親から聞かされた身近な問題、「病児保育」の解決を志すことになるが、結果として身近な問題が社会を変えることにつながる実感を得たと言う。
営利目的の事業者と社会起業家の間にはそれぞれ考え方の違いや偏見が見受けられることも多いが、駒崎氏は「ビジネスとソーシャルの橋渡し役」を自任する。
実際に、フローレンスの運営展開においては、ビジネスのプロフェッショナルの支援を受け、非常に助けられたという。
日本の制度は欧米などに比べて未だ社会起業が成り立ちにくい環境にある。
社会起業家とビジネスのプロはともに助け合ってよりよい日本社会を作っていかなければならないと駒崎氏は言う。