ソーシャルベンチャー支援には、
メディアを使って優れた事業モデルを見せて、ムーブメントを起こしていく“ハイ・コンテクスト”と、
草の根的に経営支援を行うことで地道に事例を作っていく“グラウンド・コンテクスト”という
2つの流れがある。
日本初のソーシャルベンチャー向けビジネスコンテストである「STYLE」は、“ハイ・コンテクスト”の1つである。
同コンテストは、社会起業家の志に共感できるかどうかを重視し、たとえ精度の低い計画でも支援者がブラッシュアップをすることで、社会起業家の育成・輩出を行うことを主眼にしている。
それに対して、地道な経営支援を行う「SVP(Social Venture Partners)」は、“グラウンド・コンテクスト”の1つである。
SVPとは、社会投資家であるパートナー(会員)が、志を持つ社会起業家に対して、資金援助を行うだけではなく、ネットワークの紹介や各種経営支援を行う仕組みである。
SVP東京の場合、パートナーは10万円の会費を支払うことでこの仕組みに参加し、自分自身が持っている専門性を使って社会起業家の支援を行う。
企業家やニューリッチ、リタイヤした人など多彩な職業的バックグランドを持つ人々がパートナーとして参加している。
社会起業家の持つ志がそのまま起業して成功するわけではなく、起業がある段階まで展開するためには、それなりのノウハウが必要である。
そのノウハウの1つが、「変化の法則」と言われるものである。
例えば、低所得者地域の子供たちが学力をつけて将来的に貧困から抜け出すためには、現状のようによい教育を受けられない状況から変化を起こさなければならない。
ある社会企業は、この“教育”をレバレッジポイントとして、低所得者地域に優秀な教育者を派遣する運動を行っている。
社会起業の引き起こすソーシャルイノベーションにもステージがあり、最初は個人が問題に気づくステージ、次にそれを解決する方法を考えて行うステージ、さらにその方法を多数の人々が利用して展開するステージである。
そこで起業家がノウハウを抱え込むようなことがあれば、マーケットは大きくならない。社会起業家には、社会に変革を起こすためにはノウハウを公開する度量の大きさが必要である。
井上氏は「お父さんが子供に、自分の仕事を自慢できるようになってもらうのが夢」だと言う。
小さな気づきであっても、それが「世界を変える」一歩であることを忘れないでほしい。