西山氏は彫刻家を目指していたが、奨学金を得て米国の大学へ進学することが適わず帰国。
下北沢でひとつのバッグが目に留まった。そのオーダーメイドの鞄工房を知り、鞄製作の工程に、造形という点において、彫刻との共通点を見出した。
さらに、世の中に欲しい鞄が無かったら自分でつくればよいと考え、その工房に弟子入りした。
その後独立をしたが、小さな工房では限界もあることや、鞄に限らず欲しいものを作ることがビジネスになることに気付き、大学でビジネスを学びながら桑沢デザイン研究所で工業デザインを学んだ。
卒業後はマッキンゼーに入社し、後にエレファントデザインとなるアイデアを暖めることとなる。
エレファントデザインのコンセプトは「DTO(=Design To Order)」、
ユーザーの意見を集めて商品化することで、ビジネスシステムは「ユーザーの『ほしい』をカタチにするのが仕事」である。
具体的にはユーザーがネット上のコミュニティーや自身のブログで仲間を集め、エレファントデザインはネット上の「空想生活」でそれを集約、ニーズの集合が損益分岐点を越えたと判断された場合、
知的財産として意味を持つものとしメーカーへライセンスを供与、メーカーからのロイヤリティーがユーザーに還元されるというものである。
個々の空想がネットで集まり、それが社会的な空想となって経済的な価値を持つのである。
最初に商品化したものは携帯電話のカバーであったが、その後は良品計画という良き理解者を得たおかげで、「持ち運びできるあかり」や「体にフィットするソファー」といったヒット商品が誕生した。
「体にフィットするソファー」の売上高は13億円、ロイヤリティーは1,000万円、資産価値は5,000万円にもなった。
エレファントデザインは日本語という言葉の壁、また知的財産が特許になりにくい日本の特許制度、更には優れた製造業が多いという背景から、
まだ国内での商品化に留まっているが、海外への進出やこの仕組みがもともと適していると思われるサービス財への展開が課題であると西山氏は語る。