菅野寛氏は、大学で建築学科に進み、修士課程を経て設計事務所に就職した後、ビジネススクール留学中に知った経営コンサルタントという職業に興味を持ち、転身したという経歴の持ち主である。
経営コンサルタントとして仕事を始めた当初、業界知識ではかなうはずもないクライアントに対してどんな付加価値を提供したらよいかと悩んだという菅野氏は、長年の職務経験を経て、
“優れたコンサルタント”とは、「ScienceだけでなくArtもできる人」、「クライアントのTrusted Advisorになれる人」であると思うようになったという。
Scienceとは、業界知識やMBA的知識のことで、これらはあくまで必要条件であり、ここで他者と差別化することはできない。
むしろ経営コンサルタントの真の付加価値は、思考力・洞察力、傾聴力・理解力、エンパシー(感情移入)といった、Artの部分であると、菅野氏は言う。
特にエンパシーとは、「お客さんのためになりたい」という感情のことであり、相手に伝わることで、クライアントがどんどん心を開いてくれるようになるし、
逆に、感情の部分での共感がないと、痛みを伴うような難しい解決策を実行するのは困難である。
また、クライアントのTrusted Advisor(信頼される助言者)になるためには、まずクライアントのよきディスカッション・パートナーとなることが重要である。
そのためには、「プロジェクトを売る」といった姿勢でなく、「クライアントを開拓」するという考えに立ち、クライアントの助けになることを優先するべきである。
Trusted advisorになるための3つの条件は、
「よく知っていて頭がいい」、
「言外の悩みも含めて理解できる」、
「助けてくれることを最優先してくれる」人物であると、クライアントに感じてもらうことである。
そのために、クライアントとの会話時間の80%は聴くことに割くという80/20ルールが社内に存在する。