ロボットスーツの開発には、後継人材の育成という視点からも、新たな研究・学問領域を体系化することが必要であり、山海教授は、脳・神経科学、ロボット科学から、法律、倫理、経営などあらゆる分野を融合した新しい領域「サイバニクス」を考案した。これは、人間支援型テクノロジーの国際基準化には、技術の融合だけでは不十分であるとの考えに基づいており、サイバニクスを通したチャレンジのシナリオは、産官学、そして民、つまりユーザーまでも巻き込みながら新産業を創出し、イノベーションスパイラルを形成しながら、わが国の未来開拓戦略を構築することで研究成果を社会還元するという壮大なものである。
山海教授が立ち上げたロボットスーツの製造会社である「CYBERDYNE」は、理念先行型の企業であり、単年利益でなく将来の姿を重視した経営をしていくという思いから、議決権なしの株式で資金調達を行っている。この資金調達により、研究開発拠点およびロボットスーツを年間4~500台量産できる拠点を筑波に作る計画をしている。
岡山県生まれの山海教授は、小さい頃からいわゆる科学少年であり、研究者を早くから目指していた。原理と原理を結び付けて、新しいものを発見することに面白さを覚え、小学生の頃からルビーを作ろうとしてみたり、カエルの筋肉を収縮させる電気の周波数を調べたりと、様々な実験をする少年であった。
そして筑波大学を選んだ理由は環境であった。
大学院終了後、医学部に進学しようとしていたが、教授の説得によりその道を断念し、その後2年間、未来開拓の青写真作りを開始した。その活動の成果が、現在のサイバニクスであり、CYBERDYNEである。
山海教授の座右の銘は
「花ある時は花に酔い、風ある時は風に酔い」、そして「心を忘れた科学には幸せ求める夢がない」。
今後は、人が安心して暮らせる社会づくりに取り組んでいきたいと考えており、活動の中心は、新しいチャレンジに対してスピーディーに対応できる欧州を予定している。