「感性」は決して天賦の才ではない。感覚を通じて入ってくる具体的な情報と、そこから生じるイメージ(直感)が結びつくことによって生まれてくる力である。
テレビでもネットでも新聞、雑誌でもよい。
まず積極的に情報へアプローチする姿勢が重要になる。
このときに何か一つでも問題意識を持って接すれば、情報は勝手に飛び込んでくる。
安藤氏は、常に「胆識」を持つことを心がけているという。
「胆識」とは安藤氏の造語で、
臆せず、先入観を持たず、大胆かつ時機を逃さないで情報を捕まえようとする意識を意味する。
こうしてつかんだニーズは、デザインや機能性でラッピングすればそれなりに売れる商品にはなるが、安藤氏は、広告の役割はここで終わってよいのかとの疑問を抱く。
顧客の側に立って自ら体感した目に見えないコンセプトを具体的なことばに翻訳して初めて、商品は広く伝播する。
安藤氏は、自ら講師を務める企業内大学「HAKUHODO UNIV.」内に、
ことばが持つ力と意味を「こどもごころ」という観点から養おうという趣旨で「こどもごころ製作所」というラボを立ち上げた。
ラボ内の例えば「くらやみ食堂」では、
目隠しをした状態で食事をし、視覚以外の感覚を駆使することによって、新たな驚きや発見をしてもらう。
また「のはらうた」と名付けられたワークショップでは、
小鳥の目線、太陽の目線と、視点を変えて事物を観察することで生じる違和感が、日常では口にしないようなことばをわき起こらせるという。
ポイントは、論理・知識を捨て、枠にとらわれることなく、無理にことばを当てはめずに、素直な気持ちを表現すること。
こうして生まれたことばこそが実体を伴った本質であり、自分のことばとして語り続けることで感性はより具体化し、洗練されてくる。
常日ごろからこうした裏打ちのあることばを自分のなかに積み重ねておけば、
これだと思うものをとらえたとき、タイミングを逃さず、即座に具現化することができるはずだと、安藤氏は番組内で力説している。