ロシア経済の現状を伝える。
エリツィン政権の地方分権政策によって混乱を来たしていたロシアだが、プーチン政権の下で中央集権化を進めた結果、社会は安定を見せている。
原油価格の上昇によって経済危機を乗り越え、経済面でも好景気を持続。
資源輸出を中心とした貿易黒字が伸び、政府の財政状況が大幅に改善、債務国から脱却した。
ひとりあたりGDPは、BRICsの中でも最も高い。ただし、ここ10年で、豊かな層と貧困層の格差はかなり開いている。
日ロ貿易は近年拡大しており、2006年には輸出が輸入をはじめて上回った。
「日本のことを無条件に好きな国は、トルコとインドとロシア。ところが、日本はロシアのことが嫌いだという、おもしろい現象が見られる」と大前氏は指摘する。
また、ロシアとCIS諸国の域内貿易比率は大幅に低下しており、CISの枠組みは形骸化。ロシアとEUの関係が大きくなっている。
また、地域別に見ると、経済の中心である「欧州ロシア」、資源を産出する「シベリア」、低開発地域の「極東」の3つのブロックに分かれ、自治体別の所得格差も大きくなっている。
欧米や日韓の自動車、家電メーカーの進出や、大学や研究開発拠点が集中しているのも、すべて西側なのだ。
アメリカのボーイング社など、その優れた軍事、航空関連技術に目をつけた欧米の宇宙・航空機企業が、ロシア企業との提携や人材の取り込みもはじめている。
消費財においても、外資系企業が存在感を増しており、たとえば自動車では、特に高価格帯で日系メーカーの車が強い。
「我々がイメージする古いロシアはもう存在しない。新しいロシアを勉強しなければいけない」と大前氏は説くのだ。