「人口日本一の村」として知られているのが、岩手県滝沢村である。
盛岡市のベッドタウンとして人口53075人、世帯数19628世帯を誇る。
1994年に、この滝沢村の村長になったのが柳沢純一氏である。柳沢村長は、
「住民に信頼される役場にならなければいけない」という信念から、自らを社長、役場職員を社員、住民を顧客と呼び、顧客第一の役場運営をすることを徹底させようとした。
しかし、柳沢氏によると、
当時の滝沢村役場の職員は、組織の論理を優先し、新しい仕事を受け入れず、仕事をなんとなくやっているというお役所意識が染み付いた“腐った組織”であったという。
就任当初は、その状況を打破するために、宴席などに積極的に参加し、“飲みニケーション”を行うことで職員一人一人と対等に会話することを進めた。
その成果として現場に変革の意識が芽生え、「一職場一改善運動」を導入することとなった。
この運動により、職員にも新しい仕事にチャレンジする機運が生まれてきた。
柳沢氏は、
「情報公開の推進」「組織のフラット化」「ISO14001、9001の取得」「投票による課長選出」など役場としては革新的な施策を次々に打ち出した。
その集大成が、「新総合計画の策定」であった。
この計画を住民参画のものにするために、住民から直接意見を聞くグループインタビューを行い“10年後の滝沢村に求めている条件”を抽出し、それを「めざそう値」として目標化した。
こうした活動が認められ、2006年には日本経営品質賞を受賞している。
柳沢氏が村長として10年目を迎える頃には、“社員”が勝手に仕事をするようになり、“社長”の役割はなくなってしまったという。柳沢氏は3期12年で村長を退任した。
柳沢氏によると、
組織を改革するためには、メンバーとしっかりとコミュニケーションをとること、
意識改革を促すために環境を変革すること、失敗したら戻ればいいのだからまずはやってみること、
そして財政的に苦しい時期でも教育にはお金と時間を使うことであるという。