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Vol.29 もしも、あなたが「しまむらの社長」ならば

2017年4月28日発売の「BBT Real Time Online Case Study」 Vol.29には、以下の2本が収録されています。今回はCaseStudy1「あなたが「しまむらの社長」ならばどうするか?」の一部を公開いたします。
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■あなたが「しまむらの社長」ならばどうするか?
QUESTION:今回のリアルタイムケース

あなたがしまむらの社長ならば、女性向けファストファッション業態が飽和しつつある現在、今後の成長戦略をどのように描くか?

 

 

【BBT-Analyze】大前研一はこう考える〜もしも私がしまむらの社長だったら〜

※本解説は2016/12/4 BBT放送のRTOCS®を基に編集・収録しています。

 

◆“ライバル”ユニクロとはどう違うのか。徹底比較検証
# 国内販売中心の女性向けファストファッション
しまむらは、埼玉県比企郡小川町にて営業していた島村呉服店を、1953年に株式会社として設立したことに端を発する企業です。1972年に「株式会社しまむら」に社名を変更し、現在では「しまむら」以外にも複数のショップブランドを展開するに至っています。ヤングカジュアルの「アベイル」、ベビー服・子供服の「バースデイ」、雑貨の「シャンブル」、靴の「ディバロ」などがあります。業態別売上高構成を見ると、主力の「しまむら」ブランドだけで8割以上を占めています(図-1)。

国内衣料品小売業の売上高ランキングを見てみますと(図-2)、しまむらは第2位ですが、第1位のファーストリテイリングの国内売上高の半分程度です。両社とも低価格なカジュアルファッションとして支持されている点は同じですが、ファーストリテイリングは男女を対象としているのに対し、しまむらはほとんど女性を対象としていることがこの差の大きな理由と考えられます。次に世界衣料品小売業の売上高ランキングを見てみますと(図-3)、ファーストリテイリングは第5位、しまむらは第18位で、両社の売上高の差は3倍に広がっています。これは、ファーストリテイリングが海外展開を積極的に行っているのに対し、しまむらはほとんど国内展開のみであることが理由です。

 

 

 

# 集中管理によるローコストオペレーション
図-4にはしまむらのサプライチェーンの特徴を示しました。しまむらは購買、物流、店舗オペレーションを本部で集中管理することで徹底的なローコストオペレーションを実現していることが特徴です。約500のサプライヤーと売れ行きや在庫状況を共有し、共同で商品企画を行い、発注した商品は返品なしの完全買い取りを行うことで仕入れコストを抑え低価格を実現します。また、自前の物流網を構築しているため、ある店舗で売れ残った商品を適宜別の店舗に移動させることが可能です。このようにして、買い取った商品を売り切ることで高い商品回転率を実現しています。

 

 

 

# ユニクロとの戦略比較。様々な面において対照的
しまむらとユニクロの戦略比較を図-5に示しました。商品・顧客セグメントは、ユニクロが全年齢を対象に男女比も半々であるのに対し、しまむらは女性中心で主婦や若者を対象としています。ユニクロは「ユニセクシャル・クローズ」の略だという説もあるくらいですので、セグメンテーションにそれが反映された格好です。マーチャンダイジングの面では、先述の通りしまむらが集中購買で商品売り切り型であるのに対し、ユニクロはSPA(Speciality store retailer of Private label Apparel:製造小売業)で商品補充型です。メーカーから仕入れるしまむらに対し、ユニクロの場合は自社で中国やバングラディシュの工場に発注してつくらせたものを売ることで、非常に高い利益率を達成しています。

したがって商品戦略としては、ユニクロは少品種大量の商品を製造し、色だけ変えるといったやり方をしていますが、しまむらはメーカーから仕入れているため、多品種少量で品揃え重視の展開をしています。物流の面ではユニクロはアウトソーシングしているのに対ししまむらは自社内包です。店舗オペレーションはしまむらが本部主導で集中管理しているのに対し、ユニクロは店長に大きな裁量権があります。
国内出店戦略は、しまむらが郊外中心に1,345店舗を展開、ユニクロは837店舗と数では劣りますが都心に積極展開しています。一方、海外出店戦略では、しまむらが53店舗を台湾・上海のみで展開しているのに対し、ユニクロは米国や欧州、アジアで国内店舗数を超える計958店舗を展開しています。

 

# 原価比率は高いが販管費率を低位一定に保つ集中管理
しまむらとファーストリテイリングのコスト構造を比較してみましょう(図-6)。まず原価比率ですが、しまむらはメーカーから仕入れるためにどうしても高くなります。ここ20年ほどでは70%前後の水準を保っていますが、一方でファーストリテイリングは自社の契約工場で製造するため原価を低く抑えられます。2015年度では50%ほどの粗利があることが分かります。
しかしながら、販売管理費率を見てみますと、ファーストリテイリングは2015年度で40%程度となっており、これは非常に利益を圧迫しています。しまむらのほうは25%程度と低コストで収まっており、これは徹底した集中管理の賜物と言えます。

 

 

# 完全買い取り・売り切りモデルで高い商品回転率を実現
しまむらとファーストリテイリングの効率性を比較してみましょう(図-7)。在庫比率はしまむらが10~15%で推移しているのに対し、ファーストリテイリングは上昇を続け直近では20%台で推移しています。少品種大量の商品を生産国に発注し、できあがった商品を大量に抱えざるを得ないという状況が読み取れます。
また、在庫が何日かかって1回転するかを示す在庫回転日数を見てみますと、しまむらは40日弱から50日弱といったところであるのに対し、ファーストリテイリングは近年では100日以上と長く、なおかつこれは悪化傾向にあります。しまむらが完全買い取り・売り切り型モデルで高い商品回転率を実現していることが分かります。

 

 

# 増収の一方で営業利益は悪化傾向。しまむら業態飽和の兆し
しまむらの業績推移を図-8に示しました。長期にわたり概ね増収増益を続けてきましたが2013~2014年度に初の2期連続の営業減益となり、2015年度も売上は伸びていますが営業利益の悪化傾向は続いています。主な要因は急激な円安による仕入れコストの増加、建設費の高騰による出店コストの増加、そしてここにきて在庫の増加による値引き販売が利益を圧迫しています。

次に「しまむら業態」の店舗数と年間客数の推移を見ると、店舗数は伸びる一方で、客数のほうは2010年代に入って横ばい傾向にあります(図-9)。これは、郊外型店舗の女性向けファストファッションという「しまむら業態」が飽和しつつあり、店舗の集客力が落ちているということです。さらに、しまむらとユニクロとで国内店舗数と国内売上高を比較してみますと(図-10)、しまむらの国内店舗数はユニクロを500店舗以上も上回っていますが、国内売上高においては逆にユニクロがしまむらの1.8倍となっています。これはすなわち、ユニクロのほうが店舗の集客力が高く、1店舗当たりの販売力が大きいということです。

 

 

# 都心部に弱い。低い客単価も相まってブランドイメージのチープ化に
しまむらの平均客単価と商品1点当たりの平均価格を見てみましょう(図-11)。平均客単価は2015年度で2,657円、商品1点当たり平均価格は886円となっており、いずれもアパレル業界の中ではかなり低めです。リーズナブルな価格帯のファストファッションというのはしまむら業態の特徴であり魅力でもありますが、この数字を見ますと売れ筋の主力商品は小物類となってきていることが分かります。衣料雑貨のみならず、500円もしないリップ&チークなどの廉価な化粧品、“しまむらコスメ”も最近では出てきています。この客単価の低さは、しまむらにチープなブランドイメージが定着しているということであり、これも集客力低下の一因であると考えられます。

 

しまむらとユニクロの大都市における出店戦略を比較してみましょう(図-12)。しまむら本社のある埼玉県ではユニクロを大きく上回っていますが、東京都ではユニクロがしまむらの倍近い店舗数となっています。ユニクロは低価格ブランドでありながら、銀座、新宿、渋谷などの繁華街や都心の駅ナカなどにも積極的に展開しています。一方、しまむらは首都圏郊外や地方都市のロードサイド店舗が中心です。

 

 

もともとユニクロも山口県を発祥とする地方のロードサイド店が主力でしたが、独自の商品力をもって都心部への展開に成功しました。都心集中展開により外国人観光客の目にも留まるようになり、日本のアパレルブランドとしてのブランド力が高まり、これが海外展開の成功にもつながっていると言えるでしょう(図-13)。

 

一方、しまむらのイメージは、地方都市に根差した“プチプラ(プチプライス)”のファストファッションであるという感じになるのは否めないでしょう。最近では全身をしまむらのアイテムでコーディネートした“しまラー”と呼ばれる客層も登場していますが、これは客単価の低さを見ればうなずけるところで、地方都市の(低所得)若年層という客層が浮かび上がってきます。しかしながら、こうした層が存在するとはいえ、しまむらの実質的イメージは地方都市の主婦層向けブランドであるという認識が定着しているでしょう。

 

 

◆脱チープ化が最大のポイント。世界のしまむらを目指せ
# 強みと弱み、機会と脅威の面から現状と課題を整理
ユニクロとの比較から見えてきたしまむらの現状を整理すると、まず最大の「強み(Strengths)」は、購買、物流、店舗オペレーションの集中管理によるローコストオペレーションです。一方、チープなブランドイメージから店舗の集客力が低下しており、また、ブランド力の低さゆえに海外展開が進まないということから、このチープなブランドイメージがしまむら最大の「弱み(Weaknesses)」と言えるでしょう。また、しまむらのメインの顧客層は女性の中でも首都圏郊外や地方在住の主婦や若年層で、さらに低所得層といったかなり限定的な顧客層をターゲットとしているため、今後、顧客層を拡大していくことが「機会(Opportunities)」の拡大となります。そして、店舗の魅力が薄れ、集客力が低下し、客離れが進むことが今後の「脅威(Threats)」となるでしょう。
これらの現状からしまむらの課題を整理しましょう。

 

・・・・・・・・・・・<続きは書籍版で>

 

 

各ケースの”今”について、どのような課題を見い出し、あなたは何を導き出しますか?
ぜひこの書籍を通じて、”実践的な思考プロセス”を育ててください。

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