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Vol.26 もしも、あなたが「長野電鉄の社長」ならば

2016年12月16日発売の「BBT Real Time Online Case Study」 Vol.26には、以下の2本が収録されています。今回はCaseStudy1「長野電鉄の社長」の一部を公開いたします。

RTOCS26

│CaseStudy1│
あなたが長野電鉄の社長ならば、
鉄道事業が先細りする中、
どのような成長戦略を描くか?

 

│CaseStudy2│
あなたが富士通の社長ならば、
農業クラウド技術でいかに日本版スマートアグリ戦略を構想し、
農業界の未来に貢献するか?
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■あなたが「長野電鉄の社長」ならばどうするか?

QUESTION:今回のリアルタイムケース
あなたが「長野電鉄の社長」ならば、
鉄道事業が先細りする中、どのような成長戦略を描くか?

 

【BBT-Analyze】大前研一はこう考える~もしも私が「長野電鉄の社長」ならば~

大前の考える今回のケースにおける課題とは

長野県北部に展開する鉄道事業を中心に、バス・タクシーなどによる旅客輸送、自動車・石油製品販売、不動産、ホテル・レジャーなどの事業を行っている長野電鉄。沿線上に善光寺や湯田中渋温泉郷、スキー場を擁する志賀高原など県内有数の観光地を抱えながらも、運輸事業は慢性的に赤字、レジャー事業は規模を縮小している。さらにターミナル駅の「長野駅」を東急百貨店やJR系に占拠されているという現状において、いかに沿線観光を強化しターミナル駅の商業施設を開発するかが今後の課題となる。

 

※本解説は2016/8/28 BBT放送のRTOCS®を基に編集・収録しています。

 

 

資格長野電鉄の営業路線と事業展開

# 全長約33km、沿線上に多くの観光地を抱える

長野電鉄は長野県北部で長野駅をターミナル駅とする民営鉄道です。鉄道事業のほかに、バスやタクシーなどの旅客輸送事業、自動車や石油製品の販売事業、不動産事業、ホテル・レジャー事業も行っています。これらは長野電鉄を事業持株会社とした「ながでんグループ」を形成しており、グループ連結での年間売上高は2016年3月期で174億1,618万円です。同じ長野県内の民営鉄道には、松本駅を中心に松本電鉄を運営する「アルピコ交通」、上田駅を起点とする「上田電鉄」があります。また、北陸新幹線開通により、JR信越本線の一部を移管した第三セクター「しなの鉄道」があります。

長野電鉄の営業路線は1路線で、始点の長野駅から須坂市、小布施町、中野市を経由し山ノ内町の湯田中駅を終点とする33.2kmを運営しています。

長野電鉄の長野駅はJR長野駅の北側(善光寺口)の地下にあり、ながの東急百貨店とJRの駅ビルが地下で直結しています。

沿線上には多くの観光地を擁しています。年間600万人超の参拝客を集める善光寺、葛飾北斎ゆかりの地としても知られる小布施、湯田中渋温泉郷と温泉に入るニホンザルで有名な地獄谷野猿公苑、そして県内で最も多くのスキー客が集まる志賀高原があります(図-1)。

スライド1

長野県が発表している主要観光地の観光客数上位50を見ると、善光寺は2位の610万人、七年に一度の善光寺御開帳の祭事には1,200万人超の参拝客が訪れます。4位の志賀高原は334万人で県内スキー場としてはトップです。そして13位には地獄谷野猿公苑への宿泊拠点となる湯田中渋温泉郷が127万人となっています(図-2)。このように長野電鉄沿線には県内有数の観光地が集まっています。

スライド2

 

 

# すでに2路線を廃線に

これほど観光資源に恵まれながらも、長野電鉄が運営していた3路線のうち、すでに2つの路線が廃線に追い込まれました(図-3)。かつては信州中野から飯山のすぐそばの木島までを走る河東線という路線がありましたが、2002年に廃線となりました。また、須坂と屋代との間を結んでいた屋代線が2012年に廃線となっています。今残っているのは本線1本のみという状態です。

スライド3

私も小布施に行くときに時々利用しますが、これ以上はないというくらいの寂れた電車です。しかしそれでも、沿線住民の生活路線として頼りにされています。

途中駅にある善光寺は人気のある観光地ですが、長野駅から善光寺に行く場合はバスを利用するか、あるいは徒歩でも行ける距離ですから、ここに関しては観光客の利用は少ないでしょう。主要駅の一日平均乗降客数は長野駅が約9,800人、善光寺下が約1,200人、須坂が約6,000人、小布施が約1,600人、信州中野が約2,900人、湯田中が約1,100人という状況です。本来、湯田中がかなり有力な観光地になり得るはずなのですが、今のところ盛り上がりを見せていません。

 

 

◆長期低迷をもたらした“スキー客離れ”

# 全体の事業規模は拡大するも、本業の運輸事業は低迷が続く

長野電鉄の売上高の構成を見てみましょう(図-4)。鉄道、バス、タクシー、そのほか保守業務を合わせた運輸事業が約28%です。最も大きな割合を占めているのは販売事業で、自動車販売やガソリンスタンドの経営などを行っています。自動車販売は傘下に「長野三菱自動車販売」というディーラーがあります。ガソリンスタンドは「北信米油」という子会社がエッソの代理店をしています。

スライド4

約22%を占める不動産事業、これは長野電鉄本体に不動産事業部があり、分譲・仲介・賃貸を扱う一方、「長電建設」という子会社で建設業も行っています。レジャー事業としては、旅館が2軒と小布施パーキングエリアに直結する道の駅「小布施ハイウェイオアシス」を運営し、そのほかにも旅行代理業・広告代理業・保険代理業なども展開しています。

このように、民営鉄道は一般的な事業形態として、沿線の不動産開発、レジャー開発、小売事業などを行い運輸事業とのシナジーを図ります。

各事業の売上高がどのように推移してきたか、1990年からたどって見てみましょう(図-5)。運輸事業は右肩下がり、2000年以降は横ばい状態ですが、この年に旅行代理業・広告代理業やガソリンスタンド経営などを連結化しています。2006年には自動車販売業を連結化しました。こうすることで全体の事業規模は拡大しているものの、本業の運輸事業は低迷を続けています。

スライド5

 

 

# 輸送人員長期低迷の背景にスキー客離れ

本業の運輸事業が長期にわたって低迷化しているのはなぜか、長野電鉄の輸送人員の推移を見てみましょう(図-6)。長野オリンピックが開催された1997年度の1,285万人をピークに、2015年度には808万人まで落ち込んでいます。これには2つの路線が廃線になった影響もありますが、廃線となった年の前後を見るとその影響は軽微で、本線の輸送人員は長期にわたって減少しているのです。2015年度の808万人という数字には、当年の北陸新幹線の長野~金沢間の開通と、善光寺御開帳の影響による増員が含まれています。

スライド6

輸送人員が低迷している背景には、スキー客離れがあります。[図-7/長野電鉄の輸送人員と長野県スキー客数]を見ると、長野電鉄の輸送人員と長野県のスキー客数は1980年代半ばからほぼその変化が相関しているのがわかります。県内スキー客数は1992年度をピークに減少していますが、その前年に長野オリンピックの開催が決定したことにより、しばらくは1,200万人台の輸送人員を維持していました。しかし、オリンピック後はスキー客離れがさらに進行し、輸送人員も減少の一途をたどりました。また、現在のスキー客の多くが車やスキー場に直結するバスを移動手段にしていることも影響していると考えられます。

スライド7

 

 

# 鉄道事業は2路線の廃線で黒字化、バス事業は公的補助金を受ける

鉄道事業の業績を見てみますと、営業収益は下降トレンドが続いているものの、営業利益は2012年以降、かろうじて黒字を保っています(図-8)。これは赤字の2路線を廃線にしたことが要因です。

スライド8

一方、バス事業の業績を見てみますと、いくらか改善傾向にはあるものの、四半世紀以上にもわたる赤字続きで公的補助金を受けています。とはいえ、一時は8億円ものマイナスを出していた年もあったのですが、今では1~2億円以内におさまっています(図-9)。

スライド9

 

 

 

◆商業施設で稼げず、レジャー事業は規模縮小

# JR、東急に占められたターミナル駅

ここまで見てきた以外にも、長野電鉄は問題を抱えています。鉄道会社の多くはターミナルビルを建て、そこにいろいろな商業施設を盛り込むことで収益を上げていますが、長野電鉄の場合にはそれがありません。

長野電鉄への乗り換えのためJR長野駅「善光寺口」を出ますと、JRの駅ビルMIDORIがあり、JR東日本が運営するホテルメトロポリタン長野があります。そしてJR長野駅前の幹線道路である長野大通りを挟むように、ながの東急百貨店が向き合っています(図-10)。長野電鉄の長野駅はこの2つの商業施設に挟まれており、この辺りには長野電鉄の商業施設が1つもありません。せっかく新幹線が開通したというのに、長野電鉄はターミナル駅となる長野駅で小売事業の収益を上げることができません。

スライド10

 

 

# 志賀高原からは“全面撤退”

先に見た通り、長野電鉄の事業別売上高構成の中で、レジャー事業は最も割合の小さいものでしたが、そこにはスキー客離れを背景に志賀高原に保有していた施設を手放したという事情もあります。奥志賀高原のスキー場とホテルを売却し、丸池スキー場のリフト事業も売却、丸池観光ホテルは閉鎖しており、志賀高原のスキー場から全面撤退しました(図-11)。現有している施設は、地獄谷野猿公苑、道の駅である小布施ハイウェイオアシス、野沢グランドホテル、上林ホテル仙壽閣のみです。

スライド11

 

 

 

◆沿線観光の強化と商業施設の開発を

# 長野電鉄が取り組むべき課題

では、ここまでのまとめとして、長野電鉄および市場・競合の現状について確認しましょう(図-12)。まず自社の状況ですが、鉄道は2路線の廃線によってかろうじて赤字から黒字になったもののバス事業の長期赤字が続き、運輸事業全体として見ると慢性的な赤字となっています。運輸事業であまり利益が上げられない分、自動車販売やガソリンスタンドなどの流通事業で稼いでいるというのが内情です。レジャー事業については、志賀高原のスキー場から全面撤退しています。

スライド12

市場の現状としては、長野オリンピック後はスキー客離れも相まって、鉄道輸送人員が大幅に減少しました。沿線には県内有数の観光地を擁していますが、輸送事業とレジャー事業の相乗効果が発揮できていません。

競合に関しては、ターミナル駅である長野駅が東急百貨店とJR東日本に押さえられてしまっているということが、最大の問題点として挙げられます。

 

 

# 観光PRの強化と東急電鉄との資本提携が鍵

こうした現状から脱却するには、長野電鉄はどうすべきか。

 

・・・・・・・・・・・<続きは書籍版で>

 

各ケースの”今”について、どのような課題を見い出し、あなたは何を導き出しますか?
ぜひこの書籍を通じて、”実践的な思考プロセス”を育ててください。

 

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