グローバルビジネスで戦える人材になるためのヒント"The Essence of BBT"
超高齢社会を支える在宅医療クラウドシステム

経営者ライブ122

講師:武藤真祐氏(医療法人社団鉄祐会 理事長)

 

■在宅医療の推進
高齢社会は多死社会でもある。わが国の年間死亡者数は当面増加の一途をたどり、2040年がピークで166万人に達すると予測されている。病院で亡くなる人が8割を占める現在、病床数の増加は見込めず、終末期を住み慣れた環境で過ごせる体制づくりのためにも在宅医療の普及は欠かせない。今回は、東京と石巻で在宅医療クリニックを開業している武藤真祐氏を招き、なぜ在宅医療を国が推進しようとしているのかという社会背景や、どのような社会システムをつくっていかなければいけないかを考える。

 

■武藤氏
宮内庁侍従職侍医も務めた武藤氏は、高齢社会が進む中で自分が果たす役割は何かと思い悩み、マッキンゼーでコンサルタント業務を約2年学んだ後、2010年に東京で在宅医療クリニックを開業。東日本大震災後にボランティアで現地に入り、2011年に石巻でも開業した。

 

■在宅医療クラウドシステムの構築
武藤氏が設立したクリニックは、東京では非常勤を含め約30名の医師で600名の患者を、石巻では常勤医師2名で約200名の患者を抱えている。在宅医療では、計画的で継続的な経過診療を行うため月2回以上の往診を行い、24時間365日緊急時にも対応できる体制を取らなければならない。夜間帯オンライン1次受付のためのコンタクトセンター、移動中も利用できる電子カルテ、医療事務を集約化し、カルテ口述筆記を支援するメディカルクラークセンター、スケジュールやルート等をマルチデバイス対応するための在宅医療クラウドといったICTシステムを構築し、医師、看護師、薬剤師、介護士などチームで連携する体制を整えた。

 

■医療従事者・家族とのチームケア
訪問記録やスケジュールをチームで共有し、遠方にいる家族も患者の状況が把握でき、逆に家族が医師に聞きたいメッセージを送ると返信してもらえる。高齢社会を包括的に支えていくには課題も多い。一人一人の行動に応じたリコメンデーション(行動履歴を分析し、価値があると思われる情報を提供すること)ができれば、病気の早期発見や重症化予防につながる可能性もある。誰でも簡単に使えるように、テレビを活用して双方向のやりとりを可能にするのも一案だ。

 

■よりよい高齢社会の実現へ向けて
地縁・血縁が少なくなる中、アクティブシニア向けに地域活動や就労促進するマッチングシステムを構築したり、高齢者が利用しやすいSNSを開発したりすることで、新しいコミュニティーを形成する。行政、民間企業、NGOやNPOが共同して、カスタマイズされたサービスを提供する。情報共有できるスマートフォンやタブレット等に高齢者が自分に合ったアプリを選べる仕組みが望まれる。よりよい高齢社会の実現を目指し、43歳の武藤氏の挑戦は続いている。

 


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